監督がね、東京駅に1番近い大手町の高層ビルに勤めていたころの話をしよう。
新入社員だった監督は人事部長(のちの社長)に呼ばれて応接室に入った。またパーマが強すぎるとか態度がわるいとかなんとかで怒られるのかなあと神妙な顔で入っていくと、「おい、おまえ、何か部活をつくれ。いい大学を出ているかなんか知らないが、最近の本社の社員どもは覇気がない。彼らを活性化させるため、運動でも勉強会でもなんでもいい。お前を部長にしてやる。予算は俺が言うのだから心配するな。それなりにつける。すぐ考えろ。」
そういってにらみつけてニタッとわらって出ていった。秘書がお茶を運んできたから変な予感はしていた。
さて困った。当時経理部所属で仕事は忙しく簿記はさっぱりわからず、夜は学校に通わされ、その間をぬって朝の2時までほとんど毎晩人事部長に連れまわされ水割りを浴びる日々。その年のホステスの名刺は200枚を超えた。
余計なことをする時間がない。明日までに答えを出さないといけない。そこで考え抜いた末、活動をしなくても実態のあることをすればいいと「挨拶促進連合会」を思いついた。翌日人事部長のデスクに行ってそれを報告した。部長が「バカか お前は。なんだあ そりゃー」と椅子から転げ落ちそうになった。」
「今この本社フロアーで最も大切なことは挨拶であります。挨拶をしっかりできるその瞬間から社員の信頼関係が醸成されそれが業績の向上につながるものと確信しております。」と大見得を切った。フロアーの反対側には大きな青空がひろがっていた。絶対、ここで引き下がれない。他の案を持っていなかった。
すると部長は「よしわかった。予算はいくらだ?」
「一銭もいりません。」
「いや金は出す。よし設立祝いに神田で一杯やろう。部員を集めろ。」
「はい」
時代はバブルに向かっていた・・・・・。
To be continued.
監督
