最初のデートはハンバーガーショップで・・・

 実は男子はもう半年後にはホノルルにはいない。アメリカ中西部のパブリック・アイビーの音楽院に進学することになっている。LA経由で飛行機を乗り継いでいく遠いところ。一方一つ年下の女子は建築家をめざしている。 1年後、東海岸のボストン近くに進学するかもしれないし、南のフロリダに行くかもしれない。ホノルルの高校生にとって大学進学は海を渡って未知の土地で離れ離れになって暮らしていくということでもある。


「すぐにお別れになるかもしれないね」と男子が言った。
「わかっている」とだけ女子はこたえる。
「それでもいいですか」と敢えて丁寧な口調で男子は尋ねる。
 女子は黙ってうなずいた。

 2人はそうならないことを願っているというより、
むしろ今を大切に2人でいい時間を過ごしたいと暗黙の合意をした。
 音楽家と建築家を目指す2人。来年の2人を誰が想像できるだろうか。それはこのカップルに限った話ではないけれど。
 
 ただ一つ言えること・・今を大切にしっかり・・・・そう願う、二人の明日につながるために。

                                  監督