数年前の話。六ちゃんの3年女子が12月に苦しんだ。全然伸びない。私立文系で英文科狙いだった。11月も12月も模試の結果はE判定。夏から9月まで順調に来ていたので、本人も監督も12月をある意味楽しみにしていた。全く逆に経過している。だからショックが大きかった。
 12月に入り無口になったかな、監督はみんなよくしってるとおり、雑談が多いからね、それも気のない返事で聞いている感じになってしまった。学校も行っていないという、とうとう親から電話があってレインボーも休むという。というより体が動かないという。
中学から武道をやっており辛抱のできるこどもだったから余計に心配になった。手紙を書こうか電話をしようか、顔を見に行こうか、いや疲れている、そっとしておいた方がいい・・・
 どういういきさつか思い出せないが翌週顔をだした。「休んですみません。」といって笑った。レインボーに早く顔をだせたので「これは行ける!」と思ったな。
監督はそこで一生懸命言った。「やってきた事は間違いない。やってきた量も半端じゃない。絶対負けない。絶対反転する。仮にセンターに間に合わなくても本試験までには必ず状態はよくなる。やってきた事を信じろ。間違いない積上げをしてきている。」
「はい」とだけ言った。メガネの奥で泣いていた。
そして続けた。
「今の時点でいい点とって自信満々になるより、さぞかし苦しいだろうがこうして苦しんでいる方が、監督はまともだと思うけどな。その方が間違いないと思うよ。英単語でもいつも間違う単語が本番できっちり思い出されて、こんな単語とおもっているような楽々乗り切った単語を勘違いすることがよくある。だから今の苦しみはまともだ。」
 そこからこの子は強かった。迷いを出さずに頑張った。本当はただ耐えたのだろう。ひたすら自分の夢を信じてね。こっちも何も説教臭いことは言うのはやめてずっと読解トレーニングを2人で重ねた。
 結果は1月に早くもやってきた。センターで178もとった。うれしいというかほっとした。送り出した選手が全国大会で勝ってほっとした。こいつはえらいなあと感動した。」

 今、みんな苦しいよ。うまくいっているひとのほうが圧倒的に少ないよ。精神的にも重いから、体の抵抗力も下がってくる。寒いし余計気も体も重くなるかもしれない。でもね、みんなそうなんだよ。この時期は。みんな耐えているんだよ。ここだよ。ここでとまらず、休まず自分の希望を心に走り続けることのみに集中するんだよ。前に進んでいる限り間違いはない、一日1点伸ばしても30点のゲインだ。休みもある。本試験まで考えれば45日ある。絶対止まらないでおくれ!

                                       監督