ラスコーリニコフはこみ上げてくる胸のむかつきを隠そうともせず、
マルメラードフを睨みつけながら言葉を振り絞った。
「あなたの『お願い事』って何なんですか?」
「いえね、あなたにとって、そんなに難しいことを言うつもりはありません。
些細なことです。ほんの、些細なこと。
もちろん、私にとっては重要なことなんですけどね。
あなたにしてみれば、ウォッカを1杯飲み干す程度のことです。」
ラスコーリニコフは、またソファに横になった。
全身の力が抜けて、膝がガクガク震えて、背筋が寒くなるのを感じた。
「おやおや、大丈夫ですか?あなたにとっても損な話ではないと思うんですけど。
それとも、聞いてやるからお願い事を言ってみろ、ということですかね?」
ひとつずつ、ぶちまけた宝石をきんちゃく袋に丁寧に入れながら
マルメラードフは相手の心の中を見透かしたように下劣な笑みを
浮かべながら、努めて穏やかな口調で話を続けた。