7月28日
滋賀ダイハツアリーナ:滋賀
◇IBF世界ミニマム級タイトルマッチ◇
王者
重岡銀次朗
(24=ワタナベ:11勝9KO無敗1NC)
vs
挑戦者1位
ペドロ・タドゥラン
(27=比:16勝12KO4敗1分)
重岡選手は今年3月、ジェイク・アンパロ(比)を2ラウンドKOで退けて以来のリングで、タイトル3度目の防衛戦&IBFの指名戦。
対するタドゥランは、昨年3月にアンパロとのIBF挑戦者決定戦に判定勝ちして以来となる元IBF同級王者。
結果は タドゥランが 9ラウンド 2:50 TKO勝ちで王者返り咲き。
[ABEMAの生ライブ配信で観戦]
サウスポー同士の一戦は、初回から鋭くパワフルなパンチでガンガン攻めるタドゥランに対し、重岡選手はじっくり迎え撃って左ボディブローを幾つかヒット、しかし2ラウンド以降もプレスを強めて猛攻をかける挑戦者に、王者は早々に後退し始めて序盤から劣勢。
3ラウンドあたりから被弾が増え始めた重岡選手は同時に右目の腫れも進行、4ラウンドが終わる頃には殆ど塞がった状態となって相手のパンチに反応できず、かつて経験したことのない苦境に。
後半戦に入ると、タドゥランの攻撃に重岡選手はロープを背負って受け身に回るシーンが連続、効いても踏み留まって時おり打ち返すものの、いつドクターストップ or レフェリーストップされてもおかしくない危機的状況。
8ラウンド終了後にリングドクターが右目をチェック、ここは続行を許されたながらも続く9ラウンドの終わり近く、ロープに詰められ上体を丸める場面を既に再三見せていた重岡選手にレフェリーが割って入り、TKOで試合終了。
前王者となった重岡選手のダメージは深刻で、アマチュア&プロを通じ初の黒星を喫したリングから担架に載せられて退場。
(正確にはアマで1敗しているものの、高校総体県予選の決勝で兄・優大選手との兄弟対決を回避したことによる棄権負けで、事実上無敗)
自分の予想は重岡選手の中盤~後半にかけてのKO/TKO勝ちだったので、この結果は意外どころかかなりな驚き。
スタートから飛ばして出たタドゥランの先制攻撃が見事にハマり、逆にペースを握られた重岡選手はリズムを崩すと共に目の腫れのアクシデントにも見舞われ、そのままズルズルと圧しきられた印象で、内容的には完敗。
約4年7ヶ月ぶりのサウスポー相手という部分も影響があったのかもしれませんが、とにかく驚きの陥落劇。
初っ端から後手に回ってしまったのが敗因のひとつかな、などとは思うにしろ、まずはタドゥランの気迫のこもった戦いぶりが上回っていたというのが第一と言えそう。
王座奪還を果たしたタドゥランは、18年8月の世界初挑戦で当時のWBC同級王者 ワンヘン・ミナヨーティン(タイ)に判定負けした後、19年9月の王座決定戦で同国人のサミュエル・サルバを4ラウンドTKOしてIBFで戴冠。
翌年2月にダニエル・バジャダレス(メキシコ)と4ラウンド負傷ドローで初防衛するも、21年2月のV2戦でレネ・マーク・クアルト(比)に判定負けして陥落、22年2月のダイレクトリマッチも7ラウンド負傷判定で敗退。
パワーはあっても、目を引く技術などといった他の要素は特段感じられないことから、選手層の薄いミニマム級だから一線を張れている一面もあるんじゃ?という気も正直していましたが…
兄の優大(ワタナベ)選手からタイトルを奪って行ったメルビン・ジェルサレム(比)などと同様、フィリピンの選手は出来の良い時とそうでない時の差が大きいな、と。
[ついでながら、かつてタドゥランに敗れたサルバ(27=20勝13KO1敗)は、8月24日:大阪で再起戦に臨む優大選手の対戦相手に決定済み]
何れにしても、重岡兄弟をはじめ日本勢とは絡みの多いクラスだけに、タドゥランもジェルサレムも今後の動向に要注目。
セミファイナルは58キロ契約8回戦、WBOアジアパシフィックフェザー級4位/日本5位 亀田京之介(25=TMK:12勝8KO3敗2分)vs OPBFスーパーバンタム級5位/日本6位 中川麦茶(35=ミツキ:28勝18KO10敗3分)。
昨年8月の対戦を 1-1 で引き分けている両者のリマッチ、結果は 亀田選手が 3-0(79-73、78-74、77-75)の判定勝ち。
共に殆ど最初から最後まで頭をつけて強振パンチを応酬、ヒットの数&攻勢で上回った亀田選手がユナニマスで勝利。