6月15日(日本時間16日)
MGMグランド・ガーデン・アリーナ:米ネバダ州ラスベガス
[WBA世界ライト級タイトルマッチ:ジェルボンテ “タンク” デービスvs フランク・マーティンをメインとする、プレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)主催の世界戦×4イベント]
◇WBCライトヘビー級暫定王座決定戦◇
WBCスーパーミドル級暫定王者
デビッド・ベナビデス
(27=米:28戦全勝24KO)
vs
2位/元WBC同級王者
オレクサンドル・グウォジク
(37=ウクライナ:20勝16KO1敗)
昨年11月にデメトリアス・アンドラーデ(米)を6ラウンド棄権TKOで退けて以来となるベナビデスは、1クラス上げて暫定ながらも2階級制覇への挑戦。
スーパーミドル級4団体統一王者 サウル〝カネロ〟 アルバレス(メキシコ)に対戦オファーを拒否され、168ポンドを見限ってライトヘビー進出へ方向変換する初戦。
一方のグウォジクは、昨年9月の前戦でアイザック・ロドリゲス(ブラジル)との調整試合に2ラウンドKO勝ち、アルツール・ベテルビエフ(露/加)とのライトヘビー級2団体統一戦に10ラウンドTKO負けしてWBC王座から陥落した後はここまで3連勝中、今回は同じく暫定ながらも久々の王者返り咲きチャンス。
6月1日にスケジュールされていた同級4団体統一戦、ベテルビエフ vs ディミトリー・ビボル(キルギス/露)の延期に伴い設置される王座決定戦…
結果は ベナビデスが 3-0(119-109、117-111、116-112)の判定勝ち。
動画サイトをあたってみたものの、変に手を加えたっぽいフルラウンドには時間的に足らないのが 2、3 出て来ただけだったので、もういいやと3分強のPBC配信ハイライトを視聴。
そういう訳で内容的なことはわかりませんが、スタートから中盤戦は積極的に出るベナビデスが優勢を維持、終盤は相手のペースダウンを突いてグウォジクが盛り返すも重ねたポイントのロスを挽回しきれるほどではなく、妥当な 3-0 でベナビデス勝利… という感じだったようです。
細切れ映像で観た限りでも、グウォジクのパンチが大部分手打ちだったことも相俟ってか、1階級上げて来たベナビデスの方がパワフルで、全体的に圧していたような印象でした。
なお、この試合の勝者には 10月12日(日本時間13日)にサウジアラビアで行われるベテルビエフvsビボルの勝者と対戦する流れが用意されていると先立って報じられており、来春あたりの実現に期待したいところです。
◇WBC世界ミドル級タイトルマッチ◇
王者
カルロス・アダメス
(30=ドミニカ共和国:23勝18KO1敗)
vs
挑戦者9位
テレル・ガウシャ
(36=米:24勝12KO3敗1分)
22年10月、前王者 ジャモール・チャーロ(米)の長期ブランクに伴う決定戦でファン・モンティエル(メキシコ)に3ラウンドKO勝ち、暫定王座に就いたアダメスは、今年5月にチャーロが剥奪となったことで正規王者にスライド昇格。
昨年6月、ジュリアン・ウィリアムズ(米)を9ラウンドTKOして以来となるタイトル2度目の防衛戦。
ガウシャは昨年9月の前戦でキーアンドレ・レザーウッド(米)に判定勝ち、ひとクラス上げてミドル級で2度目の世界挑戦。
(初挑戦は17年10月、WBAスーパーウェルター級王者時代のエリスランディ・ララに判定負け)
結果は アダメスが 3-0(119-109、118-110×2)の判定勝ち。
この試合もフルラウンド映像は見つからず、どころかハイライトすらなく全くの未見につき、内容はわかりませんが…
ガウシャが全体的にディフェンシブ、というか消極策に徹したことにより、クリーンヒットは少なくても攻勢でアダメスが着実にポイント取る展開に終始し、採点が示すとおりの王者のほぼ完勝だった模様。
ミドル級は、クラスのトップに上り詰めると大方に予想されていたチャーロが事実上脱落、現在はIBF&WBO王者 ジャニベック・アリムカヌエェ(カザフスタン)が第一人者的な感じになっていますが、アダメスもポテンシャルの高い選手だと思うので、WBAのララともども新しい流れで盛り上げてほしい、と期待。
◇WBC暫定世界スーパーライト級王座決定戦◇
2位
ゲイリー・アントゥアン・ラッセル
(28=米:17戦全勝全KO)
vs
9位/元WBA同級王者
アルベルト・プエジョ
(29=ドミニカ共和国:22戦全勝10KO)
ラッセルは昨年8月、ケント・クルス(米)を初回KOして以来のリングで、その前戦でランセス・バルテレミ(キューバ)を6ラウンド、さらにその前にはビクトル・ポストル(ウクライナ)を10ラウンドでそれぞれTKO、元世界王者を連破した勢いで暫定ながらも初めて迎える世界戦。
一方、昨年12月にヘクター・マデラ(米)に判定勝ちして以来となるプエジョは、トータル3度目の戴冠を狙う一戦。
19年7月の決定戦でホナタン・アロンソ(スペイン)を判定で下し、WBAスーパーライト級暫定王座を獲った(のち、WBAの1階級1王者制への移行=暫定タイトル廃止により実質的な剥奪)後、22年8月の決定戦でバティル・アフメドフ(ウクライナ)に判定勝ちしてWBA同級正規王座を獲得。
しかし、翌年4月にドーピング検査で禁止薬物が検出されて休養王者に降格、鳴りを潜めている間にいつの間にか剥奪?でタイトルを失い、今回はWBCに鞍替えして返り咲きを目指す形。
結果は プエジョが 3-0(115-112、114-113、108-118)の判定勝ち。
この試合は、思いがけずほぼフルラウンドの映像が見つかったため観戦できたんですが…
設置理由が不明瞭な暫定王座はともかく、試合自体は白熱の好ファイト。
サウスポー同士の対決は、気合い&パワー満点でグイグイ出る全勝全KOのラッセルに対し、技巧派のプエジョが足を使って動きながら迎撃する展開で進行。
見た目の攻勢なら明白にラッセルも、プエジョが巧みに外しつつ左ストレートや右フックを当てに行くため、ポイントの割り振りの難しいラウンドが連続。
相手の迫力に圧されず、サイドに回って絶妙な位置取りからコツコツとヒットさせるプエジョが際どいライン上で主導権を維持しているように感じられるものの、ラッセルもハードなチャージを緩めず、スリリングな攻防。
後半戦に入っても両者のペースは落ちずエネルギッシュにパンチを交換、アグレッシブで確実にラッセル、有効打でややプエジョのまま12ラウンズを終了。
ジャッジの見解は大きく割れましたが、ヒッティングの数&精度で上回ったのはプエジョだっただけに、個人的にはプエジョの勝ちとした2者を支持。
9ラウンド、この程度で?のホールディングでプエジョが減点を科された失点も採点の際どさに響いた形ですけど、自分のスコアも 114-113 でプエジョ。
(もし、有効打でハッキリ差のないラウンドをイーブン的に扱い、攻勢点を第一にするなら 118-108 ラッセルは普通に妥当な線)
率直に、プエジョってこんなに巧かったのか… という感想ですが、現在スーパーライト級の王者陣は主役不在の群雄割拠、そこに割って入ったプエジョには注目しておきたいところ。
WBA:イサック “ピットブル” クルス(メキシコ)
WBA暫定:イスマエル・バロッソ(ベネズエラ)
WBC:デビン・ヘイニー(米)
IBF:リアム・パロ(豪)
WBO:テオフィモ・ロペス(米)
それにしても… 前戦、試合には敗れながら相手のライアン・ガルシア(米)のオーバーウェイトが考慮され、王座に留まっているヘイニーは、別に戦えないとかいう状態ではない筈なので、やっぱり暫定タイトルを設置する理由は不可解。
(得意の屁理屈も、今回は流石に思いつかなかった?)
今後、WBCがヘイニーとプエジョに団体内統一戦を指令するのかどうか、そのへんも併せて要注視。
ラッセルは…気迫もパワーも充分でしたが、ジャブからワンツーの基本形&直線的な出入りというやや単調なパターンをプエジョに読まれ、大部分を空振りさせられたのが一番の敗因では。
でも、実力の高さや可能性はしっかり証明して見せ、いずれは兄の元WBCフェザー級王者 ゲイリーJr.に続き、世界に到達できそうなイメージ大です。