井上尚弥vsネリの勝者にWBCダイヤモンドベルト贈呈:ネリの失態の備えにドヘニーをリザーバー起用 | ボクシング・ダイアローグ

ボクシング・ダイアローグ

観戦記・展望・プレイバックなどなど・・・

 

10日(日本時間11日)、WBC(世界ボクシング評議会)が公式ホームページで、5月6日:東京ドームで予定されている4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ、王者 井上尚弥(大橋)vs 挑戦者1位/元WBCバンタム&スーパーバンタム王者 ルイス・ネリ(メキシコ)の勝者にダイヤモンドベルトの贈呈を発表。


【2009年8月から始まった〝エリートボクサー同士の歴史的な試合に勝った選手に敬意を表すること〟を目的に特製ベルトを授与する制度。

 

 国内スポーツ紙の報道によると、通常のWBC世界王者のベルトをベースに18カラットの金プレート、598個のダイヤモンド、196個のエメラルド、6個のルビー、150個のスワロフスキー・クリスタルガラスなどの宝石が埋め込まれているとのこと。

 

 過去にバーナード・ホプキンス(米)、マニー・パッキャオ(比)、フロイド・メイウェザーJr.(米)各氏らに贈られており、井上選手がネリに勝てば日本人として初の獲得】

 

WBCのホームページには、井上選手に23年度の年間最優秀選手賞の認定証を渡すため、マウリシオ・スライマンWBC会長が先月下旬に大橋ジムを訪問した際、この10年で日本ボクシング界にとって最も重要となるだろう試合の特別表彰として、ダイヤモンドベルト授与を井上選手から熱望された、と出ているようですが…

 

実際はたぶん、スライマン会長から贈呈を打診し、井上選手が Yes と返答したということでは?と推測。

 

個人的に関心があるのは試合のみ、マリー・アントワネットや峰不二子が欲しがりそうな装飾帯革は写真ででも見れれば充分ですが、とにかくスペシャルベルトがネリの手に渡るような驚天動地は絶対に見たくないな、という気持ちです。

 

(ただ、仮にネリが勝ったとしてもこれまでのキャリアにダイヤモンドベルトを贈られるほどの実績はなく、結局のところ井上選手が勝つ大前提で用意されるもの、と解釈して間違いない筈)

 

 

なお、過去に山中慎介氏との2試合で禁止薬物使用疑惑&確信的とも思われる体重超過の前科があるネリに対し、大橋ジム・大橋秀行会長が三たびの不祥事に備え、リザーバーとして同興行内で元IBF同級王者 TJ・ドヘニー(37=アイルランド/豪:25勝19KO4敗)を起用することを発表。

 

ネリがまた何かやらかし、出場中止となった際はWBO3位/IBF7位のドヘニーを井上選手の代役挑戦者としてスライド、井上vsネリが予定通り行われる場合はドヘニーは第1試合に出場:ブリル・バヨゴス(22=比:7勝2KO無敗1分)とスーパーバンタム級8回戦で対戦、という対策。

 

ネリが前日計量で僅かでもウェイト超過した場合は「絶対にやらない」と断言している大橋会長は、この措置についてネリにプレッシャーをかける意味合いがあるとしつつ、そうならないことを願うとコメント。

 

ドヘニーは大橋ジムの興行に過去2度出場、既に37歳ながら昨年11月の前戦はジャフェスリー・ラミド(米=井上選手のスパーリング・パートナーを務めていた全勝の若手)を初回TKO、同年6月の前々戦では中嶋一輝(大橋)選手を4ラウンドTKOしてWBOアジアパシフィック王座を奪取と、日本のボクシングファンにも馴染み&知名度のある選手。

 

[岩佐亮佑氏に判定勝ちでIBFの世界王座を獲得、初防衛戦で高橋竜兵氏に11ラウンドTKO勝ち。またvs中嶋の前の試合では、井上選手へのIBFの指名挑戦権を持つサム・グッドマン(豪)と対戦して判定負け]

 

とはいえ、試合としてはやっぱりモンスターがネリを痛快KOするシーンが観たいので、ドヘニーには今回は一先ずフィリピンの新鋭を退け、先々のチャンスを狙ってほしいところです。

 

 

 

 

そのネリはと言うと、米専門メディア「ボクシングシーン」が 9日(日本時間10日)に掲載したインタビューで、イノウエは非常に優れたファイター、スピードがあり、賢くてパワーもある、と初めのうちこそ高評価を口にしたものの、以後はこれまで通りの相変わらずなビッグマウスぶりを発揮、3月6日:東京ドームホテルでの発表会見時に山中氏に謝罪したり謙虚な発言に終始した時の殊勝さは霧散。

 

「イノウエの試合を観て来たが、彼は普通の平凡なファイターに過ぎず、過大評価されている。

 

 (発表会見の時に実際に対面し)身体的に小さく、他の選手たちと同じような普通のファイターと感じた。

 

 優れたファイターではあるが、しかしパンチを打つときに隙ができる。その時こそが私の出番。

 

 私は典型的なメキシカンスタイルで、前進してどんどんパンチを打って出る。

 12ラウンドまで行く(判定)準備はできているが、そこまで行かないことを願っている。早く終わってほしい。

 自分のボクシングを貫いてKOする。

 

 この一戦は私のキャリアの中で最大の試合。皆さんは、コンディションを整えたより強い、より速い、より賢い、ハードな打撃を繰り出すネリの姿を見られるだろう。

 

 どのパンチ、どのラウンドかは分からないが、試合は間違いなくKOで終わる。

 ドネアが(vs井上の第1戦で)イノウエを負傷させたが、ドネアよりも若い私はイノウエに重圧をかけることができる。

 

 イノウエに勝てば、今年一番の番狂わせになるかもしれない。

 

 私は無敗でも王者でもなく、勝っても負けてもノーリスクだ。だがイノウエにはリスクがある。

 契約に再戦条項はない。それは彼が自信過剰だからだ。彼は楽勝だと思っているが、意外なサプライズが待っている。

 

 名誉のためにやっている彼らに、勝って得るものは何もない。この試合を受けたことを後悔するだろう。

 

  (18年3月の山中氏とのリマッチで体重超過を犯して失格・王座剥奪、日本ボクシングコミッションから国内無期限活動停止処分を科されたことについては)全く気にしていない。

 

  (今年2月に資格回復が認められたことに対しては)私がイノウエと戦うことで儲かるからじゃないか」

 

ネリは現在、アメリカで徹底した体重管理をしながら最終調整中だそうで、WBCによる1ヶ月前計量では58.7キロだったとのこと。

(スーパーバンタム級リミット:122ポンド=約55.34キロ)

 

同じインタビューでネリは

 

「すべてが計画通りに進めば、ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン=元WBA&IBF同級王者)との試合が行われるかもしれない。

 それが私の最後の試合になるだろう。今の私の人生にとってボクシングはとても退屈なものだから」

 

と発言、これを聞いた井上選手は「志が低い」とバッサリなコメントをしたことが報じられていますが…

 

モンスターに太刀打ちできない筈なのはさて置いても、ネリには破格であろうファイトマネーに見合う、タパレスのようなガッツは見せてほしいもの。

 

それに、cannot なことをキャンキャンと吠え立てるのも、ボクシングファン以外の観客&視聴者の前景気を煽るためには好都合だと捉えれば、所詮は今のうちに言っとけ程度に過ぎない訳で…

 

初めからわかっていることながら、いちいち取り合う必要はないな、と改めて思いました。