10日:比パサイシティのミダスホテル&カジノで行われたWBCアジアコンチネンタル・スーパーバンタム級王座決定戦、前IBF&WBAスーパー王者 マーロン・タパレス(32=比:37勝19KO4敗)vs ナッタポン・ジャンケーウ(27=タイ:12勝8KO3敗)。
タパレスは昨年12月、井上尚弥(大橋)選手とのスーパーバンタム級4団体王座統一戦に10ラウンドKOで敗れて以来となる再起戦。
一方、昨年4月に来日して矢代博斗(帝拳)選手を7ラウンドTKOで破っているナッタポンは、今年3月にウォラポン・サエチャなる無名の同国人を初回KOして以来のリング。
結果は タパレスが 初回 2:15 KO勝ち。
[意外にもこの試合&セミファイナルのガバリョの試合は、興行当日=昨日の深夜の時点で動画サイト上に映像が上がっていたので、有り難く観戦]
開始から早々の1分あたり、タパレスが右フックを決めるとナッタポンが前に崩れ、アッサリとダウン。
再開後、タパレスが今度は相手の右にワンテンポ遅れて合わせた左ストレート、これを受けたナッタポンは膝を着き、2度目のダウン。
立ち上がって続行されるも、一気にフィニッシュにかかったタパレスが左アッパーから左ストレート、右フックと繋ぐとナッタポンが尻餅を着いて3度目のダウン、ここでレフェリーがノーカウントでストップして試合終了。
ちょっと一方的過ぎて、世界王座奪還を目指すタパレスにとっては肩慣らしにもならない程度だった筈?ながらも、一先ず無難に井上戦からの再起に成功。
モンスターとの試合で大金を手にし、これでもう引退するのではとの噂もあったというタパレスですが、痛烈KO陥落から5ヶ月足らずでリングに復帰。
井上選手が王座に君臨する限り、スーパーバンタム級での返り咲きは事実上ムリ、というかリマッチのチャンス自体が先ずなさそうに思いますけど、あの試合の時のようなガッツがあれば、相手しだいでタイトル奪還は可能なのでは。
セミファイナルはバンタム級8回戦、WBO1位/IBF4位 レイマート・ガバリョ(27=比:27勝22KO1敗)vs 健文(ケンブン)トーレス(36=メキシコ/大鵬:13勝9KO5敗)。
ガバリョは今年2月、ファイファロブ・ゴーキャットジム(タイ)を初回KOして以来、トーレスは今年1月、ヤン・チェンチェン(ベトナム)に判定勝ちして以来のリング。
結果は トーレスの衝撃的な 初回 2:33 TKO勝ち。
立ち上がりはガバリョが大振りの左右フックを交えて余裕を見せていたものの、右から左アッパーを打ちに行ったところにトーレスに左フックを合わされると、これが効いてガクリとなり後退。
いきなり訪れたチャンスにトーレスがすかさず前進、左フックを決めるとガバリョが背中から倒れ込むダウン、ダメージは深く、再開後トーレスがロープに追い込んで連打を浴びせ、再び左フックをヒットするとガバリョはガクリと膝を折り、2度目のダウン。
ここも続行されたながらトーレスは一気にロープに詰めてラッシュ、3たび左フックを叩き込むと、ガードするのが精一杯で全く反撃できずにいたガバリョが前のめりに崩れ落ち、即座にレフェリーが止めて試合終了。
WBOランキング1位のガバリョは、今月6日の東京ドーム興行でジェイソン・モロニー(豪)から王座を奪取したWBOバンタム級新王者 武居由樹(大橋)選手の初防衛戦の最有力対戦者候補だったものの、この敗戦で脱落&大幅なランクダウンが確実。
率直に、ガバリョが単なる調整試合と気を抜いていた印象は始めから見受けられてはいましたが…
これまで特に目立った実績はないにしても、黒星は同国人の英雄ノニト・ドネアに4ラウンドKO負けしたひとつのみ、持ち前の強打で再び世界再挑戦を窺うポジションにいただけに、ここでこの相手にこんな負け方をするとは、全くの予想外。
元WBCライトフライ級王者 ヘルマン・トーレス(メキシコ=協栄ジムに所属し、キョウエイ・トーレス/大関トーレスのリングネームで数年間活動)氏の二男・トーレスは、日本でデビュー後に強盗罪で6年半服役するなどの影響もあって07年から9年のブランク、そこから復帰したあとも再びリングから遠ざかり、昨年6月に6年ぶりにメキシコで改めての復帰。
再復帰後も1勝2敗と振るわなかったところが、ここでよもやの大番狂わせの勝利、次月は一気にランク入りが濃厚。
ただ、トーレスがこれを起点にステップアップするためには、ガバリョ戦がフロックでなかったことの証明の上積みが必須になると思いますので、コアなファンは今後の路線に注目。
とはいえ何にしても、下剋上の勝利は文句なしの金星。
こういうのがあるからボクシングは面白い !