【一日遅れのネット観戦】 井上拓真vsアンカハス サンティアゴvs中谷 田中vsバカセグア | ボクシング・ダイアローグ

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2月24日:両国国技館(東京都墨田区)で開催されたトリプル世界戦興行。

 

アマゾンプライムが視聴できないことで、昨日のリアルタイム生配信は観られませんでしたが、昨夜の日付が変わった頃にはもう試合映像が動画サイトに上がっており、自分が注目していたサンティアゴvs中谷、井上vsアンカハス、田中vsバカセグアの順番で空き時間を使って観戦。

 

 

◇WBA世界バンタム級タイトルマッチ◇

 

王者

井上拓真(28=大橋:18勝4KO1敗)

 

《 KO9R 0:44 》

 

挑戦者9位/前IBFスーパーフライ級王者

ジェルウィン・アンカハス(32=比:34勝23KO3敗2分)

 

サウスポーのアンカハスが時おり踏み込んで鋭い左ストレートを放ち、井上選手も様子見する中で打ち返す立ち上がりののち徐々に試合はヒートアップ。

 

4ラウンドは一気に両者の距離が詰まってフック、アッパーの交換&ボディの攻め合い、5ラウンドは井上選手が足を使ってインファイトを回避しアンカハスの出鼻に合わせる形、6ラウンドはアンカハスが序盤同様に間をとって左ストレート狙いに戻し、7&8ラウンドはまた至近距離での打ち合いと、展開が目まぐるしく変化。

 

迎えた9ラウンド、圧力の弱まったアンカハスに井上選手の右ボディアッパーがグサリ、立て続けにもう一発同じ右ボディアッパーが決まるとアンカハスがワンテンポ置いて前屈みにダウン、正座の姿勢まで持ち直すも立つことは出来ず、そのままカウンテッド・アウト。

 

8ラウンド終了までの時点では(ポイント的に)ややアンカハス優勢のように見えましたが、思った以上に接近戦でのボディブローのダメージや打ち疲れがあったのか、9ラウンドは開始時からアンカハスのプレッシャーが落ちていた感じで、そこに井上選手がタイムリーなクリーンヒットを決め一気に決着をつけた、という印象でした。

 

この試合の井上選手は、従来のパワーレスなイメージを払拭する戦いぶりで、この先どんな相手でも同様にやれるのかどうか、新たな注目点が増えたという感じです。

 

 

◇WBC世界バンタム級タイトルマッチ◇

 

挑戦者1位/前WBOスーパーフライ&元WBOフライ級王者

中谷潤人(26=M.T:26戦全勝19KO)

 

《 TKO6R 1:12 》

 

王者

アレハンドロ・サンティアゴ(28=メキシコ:28勝14KO3敗5分)

 

172センチの長身サウスポー中谷選手が、広めのスタンス&重心を低くした構えで長めの距離をキープ、逆に得意の接近戦に持ち込みたい159センチの小柄なサンティアゴはなかなか思い切った踏み込みが出来ず、軽打ながらも有効打で序盤から挑戦者がリード。

 

3ラウンドから前に出始めたサンティアゴ、しかし冷静に迎え撃つ中谷選手の前にイマイチ中途半端となって逆に右目尻をカットするなど劣勢、4ラウンドも積極的に行き時おり単発のヒットを決めるものの、引き続き正確さと的中数は挑戦者が上。

 

そうした流れの中、5ラウンドあたりからフットワークと連動させた迎撃を強めた中谷選手が、続く6ラウンドのもうじき40秒という所で打ち下ろし気味の左ストレートをクリーンヒットすると、サンティアゴが腰を落とし尻餅を着くダウン。

 

再開後、ダメージの深い王者を中谷選手がロープに詰めて追撃、コーナーを背負わせた所に右フックを叩き込むとサンティアゴが横倒しに2度目のダウン、何とか立ったもののレフェリーがストップして試合終了。

 

全ラウンドでハッキリ10ー9がつくほどの一方的な展開ではなかったにしろ、初回から中谷選手がサンティアゴを巧くコントロールした末、最後は立て続けに2度倒してフィニッシュ、の危なげない内容で完勝。

 

3階級制覇を達成した中谷選手には、これからの防衛戦と共に、同じリングのメインで強豪アンカハスを撃退した井上選手との近い将来の統一戦など、注目のプランが早くも期待されるところです。

 

 

◇WBO世界スーパーフライ級王座決定戦◇

 

1位/元世界3階級王者

田中恒成(28=畑中:19勝11KO1敗)

 

《 判定 3ー0(119-108、117-110、116-111)

 

2位

クリスチャン・バカセグア

(26=メキシコ:22勝9KO4敗2分)

 

伸びのあるパンチを強振するバカセグアに対し、田中選手は速いコンパクトなパンチと柔軟な動き&フットワークで対応、ヒッティングの割合で上回り良いペース。

 

5ラウンドに偶然のバッティングでバカセグアが右目の上をカット、焦りの出たメキシカンは盛り返しに出るも雑さが目立ち始め、以降も冷静な田中選手がハンドスピード&回転力で主導権を強化。

 

8ラウンド、左ボディアッパーが効いて動きが止まったところに追撃の連打を浴びせられたバカセグアは、田中選手にしがみついて必死のクリンチ、両者がもつれ合いロープ際で体勢を崩すと、その直後にレフェリーがバカセグアにダウンを宣告。

 

9ラウンド以降、ダメージと疲労の色がありありだったバカセグアはそれでも気力で持ち堪え、対する田中選手も無理に行かずに確実に勝ちに徹する流れを維持、そのまま期待されたKO決着には至らず12ラウンズを終了。

 

元世界6階級王者 オスカー・デ・ラ・ホーヤ(米)氏の24戦を抜き、史上最速の21戦目での世界4階級制覇&史上初の4冠すべてWBOタイトルでの4階級制覇を達成した田中選手ですが、採点的には文句なしとはいえ強化したというガードがかなり下がっていたり、相手のクリンチ休憩に付き合いパフォーマンスも下がって見えたなど、気になった部分も複数あり。

 

ついでながら、個人的な採点は 117ー110 で田中選手でした。