6月1日(日本時間2日)
キングダム・アリーナ:サウジアラビア・リヤド
◇ヘビー級12回戦◇
WBO2位/IBF8位/WBC9位/前WBO暫定王者
張志磊[チャン・ツィーレイ]
(41=中国:26勝21KO2敗1分)
vs
WBC7位/WBA10位/WBO13位/前WBC王者
デオンテイ・ワイルダー
(38=米:43勝42KO3敗1分)
英国プロモート業のトップ、マッチルーム・ボクシングとクィーンズベリー・プロモーションズによる「5×5対抗戦」のメインイベント。
(張=クィーンズベリー、ワイルダー=マッチルーム傘下)
張は今年3月、ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)に判定負けしてWBO暫定王座から陥落、今回はそれ以来となる再起戦。
ワイルダーも昨年12月にパーカーと対戦して判定負けを喫しており、同じくそれ以来の再起戦のリング。
結果は 張が 5ラウンド 1:51 KO勝ち。
[動画サイトでフルラウンド映像を見つけて観戦]
初回、両者とも手数は少ないもののサウスポーの張がプレッシャーをかけてジワジワ前進、2ラウンドに一気の連打をまとめてワイルダーをロープからロープにに追い、それを機に主導権を掌握。
一転、以後はラウンドが進行しても双方また手数が出ない状態が続くも、張は隙を窺いつつしっかりタイミングを計っている一方、極端なほど消極的なワイルダーは単に腕を伸ばすだけのようなジャブが大部分で、著しく覇気を欠いている感じ。
迎えた5ラウンド、まずい流れを意識したかワイルダーが得意の右ストレートを振るっていっ時&この試合唯一の攻勢、しかし張が盛り返して出るとアッサリまた後退。
そして張がいつ踏み込んで行くか?というラウンドの半分を過ぎたあたりに、突然なフィナーレの到来。
両者が同じタイミングで右を相討ち→ 張は外したのに対し、ワイルダーはモロに顔面の中央に直撃…
横に泳いだワイルダーが背を向け、顔だけ振り返った無防備状態のところに更に張のフォロウの右フックが炸裂すると、かつて豪打で長期王朝を築いたブロンズボンバーは背中からキャンバスに落下。
これは立てないだろう、というダウンからカウントアウト前に立ち上がったものの足もとが定まらず、そのままレフェリーが止めて試合終了。
前戦の敗北で少し下がった自身の商品価値をまた引き上げた張は、この勝利でビッグマッチ路線への復帰が確定。
まだ衰えの色は見えないにしろ既に41歳ということもあり、この状態を維持している間に他のトップ陣との対戦を実現させてほしいところ。
敗れたワイルダーの方は、全盛時の凄みが全く感じられず、もうピークを完全に通り過ぎてしまった印象。
今回の内容、結果、そして負け方からすると、これがラストファイトになる可能性が高いように思います。
なお、過去の選手/試合には興味ないタイプの方にはどうでもよすぎな話ですが…
パンチをもらって後ろを向く→ 完全無防備な死角から追撃打を食らって倒される、というシーンには、アントニオ・アベラル vs 金泰式(WBCフライ級タイトル戦:1981年8月/もちろん?リアルタイムでは観てませんが)が頭に浮かんで来ました。
(マニアの面目躍如 !? 因みに↑は動画サイトで観られます:Antonio Avelar vs. Tae Shik Kim)
◇IBF世界ヘビー級暫定王座決定戦◇
1位
フィリップ・フルゴビッチ
(31=クロアチア:17戦全勝14KO)
vs
4位/前WBAレギュラー王者
ダニエル・デュボア
(26=英:20勝19KO2敗)
※4団体統一王者 オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)の返上or剥奪の可能性が高まったことを受け、直前になってノンタイトルからIBF暫定王座決定戦に変更
22年8月に張を判定で下し、IBFの指名挑戦権を手に入れていたフルゴビッチは、昨年12月の前戦でマーク・デ・モリ(豪)を初回TKOで一蹴、今回は暫定ながらも漸く迎えた初の世界戦。
一方、昨年8月にウシクとのWBA団体内統一戦に9ラウンドTKO負けして王座を失ったデュボアは、同年12月にジャレル・ミラー(米)を10ラウンドTKOして再起、それ以来となるリング。
「5×5対抗戦」(フルゴビッチ=マッチルーム、デュボア=クィーンズベリー傘下)のセミファイナルで行われた一戦…
結果は デュボアが 8ラウンド 0:57 TKO勝ち。
立ち上がりはデュボアがプレッシャーをかけて出ていたものの、フルゴビッチが打ち下ろす右を再三叩きつけて圧し返し、序盤は概ねクロアチア人が優勢。
右狙いに偏るフルゴビッチに対し、4ラウンドあたりからデュボアが徐々に反撃、それでも体格で勝るフルゴビッチの右のパワーの前になかなか踏み込んで行けず、厳しい展開。
が、7ラウンドに入ると急にフルゴビッチの動きが鈍り、デュボアがロープに詰めて連打するシーンが出始め、この回の終了間際にはフルコビッチがダウン寸前に陥るところまで形成逆転。
続く8ラウンド、ガス欠&ダメージ大のフルコビッチにデュボアが再び連打攻撃、そこにレフェリーが割って入って試合を中断するとリングドクターを呼び、前半戦の時点でカット&以後は左目の腫れも進行していたフルゴビッチの傷のチェックを要請。
結局そこでドクターストップがかかり、負傷TKOでデュボアが暫定王座を獲得。
序盤のうちは、このままの流れで行けば遅かれ早かれでフルゴビッチの右が当たってKOかな、という展開でしたが、途中からフルゴビッチの攻めが雑になった&失速したこともあり、被弾を抑えて慎重に戦ったデュボアのファイトプランが功を奏した感。
勝ったデュボアは、リングサイドで観戦していた元3団体統一王者 アンソニー・ジョシュア(英)が 9月:ロンドンで予定している次戦の相手に起用される見通しらしいものの…
ただ個人的には、英国圏でまた新たなタイトルのたらい回しが始まる?と思うと、関心以上に辟易の方が大きい気持ち。
敗れたフルゴビッチの方は、やはり中盤までに右狙いが思惑どおりにいかず、倒せないまま大雑把になった&スタミナロスしたのが敗因では。
実質的に、打ちのめされてのTKO負けだっただけに、ここからまた立て直して世界戦線に戻って来れるのか、まずはそこに注目したいところです。
[一度にまとめると大長文になってしまうため、同じ興行で行われたWBA世界ライトヘビー級タイトルマッチ:ディミトリー・ビボル vs マリク・ジナド、WBA世界フェザー級タイトルマッチ:レイモンド・フォード vs ニック・ボール 他については、これと分けて投稿します]