正式発表:3/30 チューvsサーマン &トリプル世界戦 ロメロvsクルス ララvsゼラファ 他 | ボクシング・ダイアローグ

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米プロモート大手のプレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)が、3月30日(日本時間31日):米ネバダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催するイベントの主要対戦カードを発表。

 

[PBCが長年提携してきたショータイムが昨年12月にボクシング中継から撤退、代わって新たに複数年契約を締結したアマゾン・プライム・ビデオと組んでの最初の興行]

 

メインは155ポンド契約ノンタイトル12回戦、WBO世界スーパーウェルター級王者 ティム・チュー(29=豪:24戦全勝17KO)vs WBA同級2位/元WBA&WBCウェルター級王者 キース・サーマン(35=米:30勝22KO1敗1NC)。

 

当初はチューの3度目の防衛戦として発表されたもののWBOがタイトル戦として認定しなかったらしく、間もなくしてキャッチウェイトによるノンタイトル戦に変更の報。

 

4団体統一王者だったジャーメル・チャーロ(米)のWBO王座剥奪により、暫定王者から正規王者に昇格したチューは、昨年10月にブライアン・メンドサ(米)を判定で下して以来のリング&2度目のアメリカでの試合。

 

サーマンは22年2月、2年7ヶ月ぶりの復帰戦でマリオ・バリオス(米=現WBCウェルター級暫定王者)とのWBC挑戦者決定戦に判定勝ちしたのち再び長いブランクをつくり、今回はそれ以来となる2年1ヶ月ぶりのリング。

 

チューが着実に実績を上積みし充実している一方、歴戦の実力者とはいえ偏った試合間隔&年齢的な戦力ダウンが懸念されるサーマンは、そこにスーパーウェルター級リミットオーバーのウェイトが加わることもあり、やはり不安は否定できないところ。

 

とはいえ、世界的スターへの階段を上るチューvs黒星はマニィ・パッキャオ氏(比=元世界6階級制覇)に2ー1判定で敗れただけでまだ限界感を見せていないサーマン… は興味深い組み合わせで、タイトルの有無にかかわらず要注目の一戦だと思います。

 

 

セミファイナルはWBA世界スーパーライト級タイトルマッチ、休養王者 ローランド・ロメロ(28=米:15勝13KO1敗)vs 挑戦者WBAライト級1位 イサック〝ピットブル〟クルス(25=メキシコ:25勝17KO2敗1分)。

 

ロメロは昨年5月、イスマエル・バロッソ(ベネズエラ)との決定戦に9ラウンドTKO勝ちして空位のWBA王座を獲得、しかし次戦で義務付けられていたオハラ・デービス(英)との指名戦を怪我を理由に行わず休養王者にスライド降格、取り敢えず王座剥奪を免れた後、漸く迎える初防衛戦。

 

一方、21年12月の世界初挑戦でWBAライト級レギュラー王者 ジェルボンテ〝タンク〟デービス(米)を相手にフルラウンド戦う善戦で名を挙げたクルスは、意外な接戦の判定勝ちだった昨年7月のvsジョバニ・カブレラ(米)以来のリングで、1階級上げての2度目の世界王座チャレンジ。

 

WBAのスーパーライト級は、ロメロが試合をしない間にWBAが公約破りの暫定王座設置を承認、今年1月6日の決定戦で(不可解なタイミングのレフェリーストップでロメロに敗れていた)バロッソがオハラ・デービスを初回TKOして暫定王者に就いており、両者には3月末までの期限で対戦指令が出されていましたが…

 

バロッソが1月に試合をしたばかりだから?なのか、突然な感じでクルスがピックアップされたようなマッチアップ。

 

これまたクルスが1階級上げての挑戦だけに、そのへんも勝負予想的には少なからぬポイントになりそうですが、好戦的なタイプ同士ということで、試合自体は白熱した打撃戦のイメージが浮かびます。

 

 

セミセミはWBA世界ミドル級タイトルマッチ、王者 エリスランディ・ララ(40=キューバ:29勝17KO3敗3分)vs 1位 マイケル・ゼラファ(試合時32=豪:31勝19KO4敗)。

 

ララは22年5月にゲイリー・オサリバン(アイルランド)を8ラウンドTKOで退けて以来のリングで、タイトル2度目の防衛戦。

 

昨年中にあった元世界2階級王者 ダニー・ガルシア(米)との対戦話が流れ長い沈黙状態だったものの、1年10ヶ月ぶりの久々の試合でWBAの指名戦に臨む形。

 

ゼラファの方も、前戦は判定勝ちした22年11月のダニロ・クレアティ(豪)戦と1年4ヶ月のブランクを経ての試合で、これが初の世界挑戦。

 

地味ながらもレベルの高い技巧派ララとはいえ、試合の12日後には41歳を迎え、流石に最高=現状維持というのが現実の筈。

 

それでも、今回の相手ゼラファは指名挑戦者とはいえこれまで世界ランカークラスには通じずにいる選手だけに、王者交代の可能性は低い気がしますが… どうなりますか。

 

 

以上3試合に加え、PPV放映の第1試合にはWBCスーパーウェルター級暫定王座決定戦、2位 セルヒイ・ボハチュク(28=ウクライナ:23勝23KO1敗)vs 3位/前WBC暫定王者 セバスチャン〝タワーリング・インフェルノ〟フンドラ(26=米:20勝13KO1敗1分)がセット。

 

フンドラは昨年4月、ブライアン・メンドサに7ラウンドKO負けで初黒星を喫して王座陥落、今回はそこからの再起戦。

 

スーパーウェルター級(約69.85キロ)にして身長197センチという規格外の体格でステップアップしていたものの前戦で躓き、ここも続けて落とす訳にはいかない一戦。

 

ボハチュクは昨年7月、パトリック・アロティ(ガーナ)を初回KOに屠って以来の試合で、暫定ながら初の世界タイトル戦。

 

21年3月、ブランドン・アダムス(米:WBCミドル級王者 ジャモール・チャーロに挑戦して判定負け)に8ラウンドTKOで敗れた後は5連勝中と、再び勢いを取り戻している状況。

 

WBC同級王者のジャーメル・チャーロ(米)が今後の路線をハッキリさせていないことを上辺の理由?に、またもWBCが暫定王座をそのまま継続させ、しかも負けて落城したばかりのフンドラを出場させるという納得しがたい決定戦ですが…

 

痛烈KOに沈み打たれ脆さも露呈したフンドラが塔を再建するのか、勝利はすべてKOのボハチュクが強打を爆発させてトップ候補に躍り出るのか、タイトルはともかく試合的にはスリリングなファイトの予感が漂うカードです。