昨日23日、エディオンアリーナ大阪第1競技場で開催された、ダブル世界戦&那須川天心ボクシング3戦目を主体としたイベント。
アマゾンプライムが視聴できない状況につきライブ配信は観られませんでしたが、一夜明けた今日、メインをはじめ主要4試合すべての映像が動画サイト上に上がっていたため、空き時間を繋ぎ繋ぎして観戦。
◇WBA&WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ◇
王者
寺地拳四朗
(31=BMB:22勝14KO1敗)
vs
挑戦者 WBA1位/WBC2位/元WBA同級王者
カルロス・カニサレス
(30=ベネズエラ:26勝19KO1敗1分)
結果は 寺地選手が 2-0(114-112×2、113-113)の判定勝ちでWBC4度目、WBA3度目のタイトル防衛。
スタートからひと回り小さいカニサレスが積極的に出、負けじと寺地選手も応戦する立ち上がり。
2ラウンドの半分を過ぎたところで寺地選手の右がカニサレスの左側頭を捉えると、ガクリとなった挑戦者は大きく前にのめって必死のクリンチ。
そのまま寺地選手の足にしがみつき両者もつれ合ってキャンバスに落下、しかしレフェリーは経緯をしっかり見ており、カニサレスにダウンを宣告。
続く3ラウンド、残り20秒を切ったところで今度はカニサレスが右フックを決め、王者が一瞬腰を落とすダウン。
4ラウンド以降は至近距離で打ちつ打たれつの攻防、そのままの展開で中盤~後半戦を終え、ポイント的にはイーブンに近い状況で終盤へ。
気迫の塊のようなカニサレスのアタックが衰えないことから、王者のセコンドは打ち合いを避けてアウトボックスを指示、寺地選手がそれを守って11、12ラウンドをジャブとフットワークで凌ぎ、試合終了ゴング。
採点は2ポイント差が2人とドロー1人のマジョリティ・デシジョンでしたが、勝者が逆だったとしても全然おかしくない大接戦。
寺地選手が際どい判定を引き寄せて辛勝、という結末に終わったものの、vs矢吹リマッチ以降の攻撃型スタイルがちょっとムキになって打ち合ってしまう格好で現れ、裏目に出ていた感も少なからず。
安定感の部分はvs矢吹初戦に敗れる前の方が上&寧ろそれが寺地選手本来のスタイルだったと考えると、矢吹選手から王座を奪還して以後の攻めて仕留める戦術も含め、もう一度自己検証してみることが大事かも。
因みに、個人的な採点は 114ー112 でカニサレスの勝ちでした。
◇121ポンド(スーパーバンタム級リミット1ポンドアンダー:約54.8キロ)契約8回戦◇
WBA&WBOバンタム級14位
ルイス・ロブレス・パチェコ
(25=メキシコ:15勝5KO2敗1分)
vs
WBOアジアパシフィック・スーパーバンタム級5位/OPBF6位/日本7位
那須川天心
(25=帝拳:2戦全勝)
結果は 那須川選手が 3ラウンド終了TKO勝ち。
試合前のKO口約を意識してか、左構えの那須川選手は足を止めて正面に立ち、ウェイトをのせたパンチをしっかり当てることを第一に意図していると映るファイトスタイル。
右構えのロブレスは2ラウンドから手数を増やし始めるも、落ち着いて迎撃する那須川選手が同ラウンドの後半あたりからプレスをかけ始め、3ラウンドになると軽いながらもヒット率を上げてペースアップ。
攻撃的スタイルの効果がハッキリ現れ始め、良い流れができて来ていた3ラウンド終了後、画面にインターバル中にロブレスの気の抜けたような顔が映ったと思ったらセコンドが右シューズの紐を解き始め、棄権の意思表示をして呆気なく試合終了。
足首を捻った?という感じでしたが、試合中にそういう素振りはなかったので、唐突で拍子抜けなフラストレーション感は否めず。
取り敢えず初のストップ勝ちとなった那須川選手、次戦はキッチリ倒してのクリーンKOを期待。
◇WBA世界フライ級タイトルマッチ◇
王者
アルテム・ダラキアン
(36=ウクライナ:22戦全勝15KO)
vs
挑戦者1位
ユーリ阿久井政悟
(28=倉敷守安:18勝11KO2敗1分)
結果は 阿久井選手が 3-0(119-109、117-111、116-112)の判定勝ちで新王者。
積極的に前に出る阿久井選手に対し、ダラキアンはリングを広く使ったサイド&バックステップで迎え撃つ戦術。
引きつけてカウンターやタイムリーなショットを狙っている一方で、ダラキアンには阿久井選手の圧力に下がらされている部分も見て取れ、表面的には押されている印象大。
共に明確なクリーンヒットは少なく、殆ど差のつかない割り振りラウンドのポイントの多くは攻勢点として阿久井選手に流れている?という展開で進行し、そのまま大きなヤマ場はナシでフルに12ラウンズを終了。
ヒッティングの割合としてはそう大差はなかったように見えましたが、スタートから最後まで攻める姿勢を貫いた阿久井選手のアグレッシブ・スタイルが3ジャッジに支持された形。
10、6、4ポイント差のユナニマスで、岡山県のジム所属選手として初&元WBCバンタム級王者 辰吉丈一郎(大阪帝拳)氏に続く、岡山県出身者2人目の世界王者誕生。
初黒星と同時にタイトル7度目の防衛に失敗、王座陥落となったダラキアンは試合後の会見で
「阿久井は優れたボクサーで私より若い。体調は悪くなかったが、時(年齢)というのは残酷だと感じた」と自身の衰えへの認識と共に、判定に対する不満はない旨をコメント。
同席したスタッフは一番の敗因に延期の影響を挙げ、当初のスケジュールの昨年11月15日に合わせて99%仕上げていたのが変更になり、調子が狂って中途半端になってしまった、再びベストの状態に戻すには試合は3月頃が望ましかったと述べ、加えてウクライナからワルシャワを経由しての長時間移動→ 日本入りしてからコンディションを回復させるのは、若くないダラキアンには難しかった、と説明。
最後までフットワークが止まらず、半テンポほどずらしたタイミングで合わせるパンチなど持ち味も随所に見せていたダラキアンは、個人的には少なくとも不調というほど悪くは見えませんでしたが、本人が試合の出来を不本意と言っている以上、やっぱりそこが一番大きく作用したのかな?と。
敗因はこれから分析するとも言っていましたけど、阿久井選手とのリマッチを望むのかも含め、現役を続行する意思があるのかどうか会見では触れていなかった?ようなので、そこが気になるところ。
個人的には、ポイントにつながらない類のフットワークによる無駄な動きの多さと、左リードパンチや相手の打ち終わりなどに合わせる右など、全体的に効果的な手数がイマイチ出ていなかったあたりが戦術面での敗因では?という感想です。
なお、自分の採点は 117ー111で阿久井選手でした。
◇54.5キロ契約8回戦◇
日本バンタム級10位
与那覇勇気
(33:13勝8KO5敗1分)
vs
辰吉寿以輝
(27=大阪帝拳:14勝10KO無敗1分)
結果は 辰吉選手が 2-0(77-75×2、76-76)の判定勝ち。
硬い上体からコンパクトにパンチを繰り出す辰吉選手と、上体&膝を柔軟に使う与那覇選手の対照的な組み合わせ。
一進一退の内容ながらもヒッティング精度は辰吉選手が上回り、1ジャッジのドロー採点にはちょっと意外感も。
辰吉選手も、ここからひと押しといった所で手を休めるシーンがたびたびあり、その際もう少し手を出していたらもっと明白に勝てていたのでは?と思いました。
個人的な採点は 77ー75 辰吉選手。