縁側。
京極正宗は正座していた。
背筋はまっすぐ。
姿勢は完璧。
まるで学問の講義を受ける貴族の子息のようである。
その前に座るのは――
自称ナマズオ族の審神者・ギョリイ
∈(👁️___👁️)∋
「京極っぺ」
『はい』
「今日はオラ直々に、ナマズオ文化を教えるっぺ!」
『よろしくお願いします』
京極正宗は丁寧に頭を下げた。
横で薬研が腕を組む。
「おい大将、文化って言っていいのかそれ」
清光が吹き出す。
安定はすでに諦めている。
三日月は茶を啜っている。
山姥切は遠くを見ていた。
ギョリイは立ち上がる。
そして、空に向かって手を広げた。
「薩摩の本丸ではな!」
びしっ。
「大鯰様と!」
反対の手。
「モロコシ様を信仰してるっぺ!」
京極正宗は静かに頷く。
『なるほど』
メモを取る。
薬研
「メモ取ってるぞ」
燭台切
「真面目だね……」
ギョリイは続ける。
「大鯰様を信仰すると!」
びしっ。
「うぺぺに幸せになれるっぺ!」
『うぺぺ』
京極正宗が復唱する。
三日月が茶を吹きかけた。
主はさらに続ける。
「そして!」
「モロコシ様は豊穣の精霊っぺ!」
「信仰すると!」
「食いっぱぐれることはなくなるっぺ!」
京極正宗は感心した顔をした。
『それは素晴らしい信仰ですね』
清光
「受け入れるの早いな!?」
安定
「京極くん順応力高い」
京極正宗は真剣だった。
『つまり』
『大鯰様は幸福の神』
『モロコシ様は豊穣神』
『二柱信仰というわけですね』
主は満面の笑み。
「そうっぺ!」
山姥切が静かに言う。
「半ば強引に信仰させられてる感はある」
沈黙。
三秒。
∈(👁️___👁️)∋ぺしっ
ぺちんされる山姥切国広。
そして、ギョリイが立ち上がる。
「次は儀式っぺ!」
京極正宗が少し身を乗り出す。
『儀式……』
ギョリイは主殿から何かを持ってきた。
それは――
40cmほどのナマズオぬいぐるみ。
「これが」
びしっ。
「大鯰様っぺ!」
京極正宗は真剣な顔で見つめる。
三秒。
五秒。
そして。
『……可愛らしい神様ですね』
燭台切が天を仰いだ。
三日月が笑っている。
ギョリイは続ける。
「そして!」
15cmほどのとうもろこしぬいぐるみ。
「これが!」
「モロコシ様っぺ!」
京極正宗は、深く頷いた。
『理解しました』
清光
「理解したの!?」
京極正宗は真剣だった。
『では』
立ち上がる。
ナマズオぬいぐるみの前に正座。
丁寧に手を合わせる。
『大鯰様』
静かな声。
『本丸の安寧をお守りください』
沈黙。
ギョリイは感動していた。
∈(👁️___👁️)∋✨
「京極っぺ……」
「おぬし……」
「才能あるっぺ……」
山姥切は顔を覆った。
薬研が呟く。
「染まるの早すぎるだろ」
三日月が楽しそうに言う。
「面白い本丸になったな」
京極正宗は静かに微笑んだ。
『研究対象として』
一言。
『とても興味深い文化です』
その日、薩摩の本丸にナマズオ文化研究員が誕生した。