薩摩の本丸に、一通の箱が届いた。
差出人は――
刀剣保存会。
山姥切は静かに箱を見つめる。
「主宛てだ」
縁側で焼き芋をもぐもぐしていたギョリイが、のそのそ近づいてくる。
「刀剣保存会っぺか?」
箱には金色の印。
その横に、小さな札が添えられていた。
会員番号7020
刀剣保存への貢献により
一振りを贈呈する
ギョリイは読み上げた。
「月に880ナマズオ小判払ってたの、役に立ったっぺな〜」
薬研が腕を組む。
「まさか刀を送ってくるとはな」
燭台切が苦笑する。
「主、すごいことしてたんだね…」
箱は静かに開けられる。
中には、短刀。
漆黒の鞘。
気品のある造り。
ただ、それだけではない。
その刀身から漂う、妙な気配の高さ。
三日月が目を細めた。
「ほう……」
静かに呟く。
「これはまた……面白きものが来たな」
山姥切が札を見る。
そして、眉を僅かに動かした。
「主」
「なんだっぺ?」
「刀の名だ」
一拍。
山姥切が読み上げる。
「――京極正宗」
空気が止まる。
薬研
「は?」
燭台切
「え?」
清光
「え、ちょっと待って?」
安定
「あの京極?」
三日月がくつくつ笑った。
「天下の名物であるな」
その瞬間。
ギョリイの手から、
さつまおいもが落ちた。
ぽとん。
∈(👁️___👁️)∋🍠
誰も拾わない。
箱の中で、刀が光った。
そして――
白い光。
人の形が現れる。
ふわりと揺れる衣。
薔薇を思わせる気品。
静かに一礼する。
「はじめまして」
柔らかな声。
「わたくしは――」
微笑む。
「京極正宗と申します」
沈黙。
沈黙。
沈黙。
ギョリイは、しばらくその姿を見つめていた。
そして、
ぽつり。
∈(👁️___👁️)∋じぃ〜…
一歩近づく。
京極正宗も首を傾げる。
ギョリイは、真顔で言った。
「おぬし……」
間。
「ほんとに」
もう一歩近づく。
そして――
「男の子だっぺか?」
その瞬間。
本丸の空気が崩壊した。
清光
「主ぃぃぃ!!」
安定
「いきなりそれ!?」
薬研
「大将ぉ……」
燭台切は顔を覆った。
三日月は腹を抱えて笑っている。
山姥切は、静かに目を閉じた。
京極正宗は、
きょとん。
そして、
ふふ、と微笑んだ。
「ええ」
優雅に答える。
「一応」
間。
「男でございます」
その瞬間。
薩摩の本丸に、
新たな嵐が生まれた。
