本丸の縁側で、ギョリイは大倶利伽羅と並んで座っていた。
目の前には、お菓子の盛られた大皿がある。

「よぉし、おやつタイムっぺ!!」

ギョリイはナマズオマスクの下で満面の笑みを浮かべ、嬉しそうに手を叩いた。
そして、お菓子を分配するために、ひとつひとつ丁寧に数え始める。

「オラ……」ギョリイは一つ、自分の手元にお菓子を置いた。
「オラ……」また一つ、自分の前に置く。

大倶利伽羅は腕を組んで、静かにそれを見つめていた。
ギョリイはさらに続ける。

「加羅ちゃん……」ぽんっ。大倶利伽羅の前に一つ置いた。
「オラ……」ぽんっ。また自分の前に置く。
「オラ……」ぽんっ。また自分。
「加羅ちゃん……」ぽんっ。大倶利伽羅の前に一つ。
「オラ……オラ……オラ……」ぽんっぽんっぽんっ。
「加羅ちゃん……」ぽんっ。

明らかにギョリイの手元にあるお菓子の方が多い。

大倶利伽羅の目がじっとギョリイの手元の山を捉える。
最初は黙っていたが、さすがに無視できない量になってきた。

「……オイ、主」

「うぺ?」

「お前の分、多すぎるだろう」

大倶利伽羅は無言でギョリイの前に積まれたお菓子の山を指さした。
ギョリイはしめしめeyeを発動しながら、ナマズオマスクの下でにやりとする。

「これは、オラのナマズオ活動資金っぺ!」

「お菓子が資金?」

「うむ! 甘いものを摂取すれば、エネルギーがみなぎるっぺな? エネルギーがあれば、ナマズオダンスがキレッキレになり、踊りがキレッキレになれば、ナマズオ文化を広める力も増す……つまり、これは未来のナマズオ活動のための投資っぺ!!!」

「……意味がわからん」

大倶利伽羅は呆れながら、ギョリイがもしゃもしゃとお菓子を頬張る様子を見ていた。
すると、ギョリイは急に口をもごもごさせながら、何かを思いついたように顔を輝かせる。

「加羅ちゃんも、もっと食べればいいっぺ!」

「……別にいらない」

「じゃあさ! あーん、してあげるっぺ!」

「いらん」

「そんな遠慮するなっぺ!」

ギョリイは強引に大倶利伽羅の口元へお菓子を差し出した。
「ほれほれ! あ~ん♪」と、しつこく迫る。

「……はぁ」

大倶利伽羅は仕方なく、ギョリイの手から一口かじった。

「……まぁ、悪くはない」

「っぺええええ!? 加羅ちゃんが素直に食べたっぺぇぇぁぁぁ!!」

ギョリイが大げさに感動するので、大倶利伽羅はじろりと睨む。

「騒ぐな。お前がしつこいから、食っただけだ」

しかし、ギョリイは満足そうに頷いた。

「よしっ! これからは加羅ちゃんにも、もっとお菓子を分配するっぺ!」

「……最初からそうしろ」

こうして、大倶利伽羅の前にも、ほんの少しだけお菓子の量が増えることになった。

それでも、やっぱりギョリイの手元のお菓子が一番多かったのは、言うまでもない。