本丸・審神者の部屋――深夜
「……そろそろだっぺな……!」
ギョリイはワクワクしながら、エオルゼアチャンネルをチェックしていた。これは審神者のチカラによって受信している特別な放送であり、エオルゼアの世界に新たに追加される装備やコンテンツの情報が発表される番組だった。
そう、今日こそは――!!
ギョリイの念願、「ナマズオ胴」の実装が発表されるはず!!
今までは仮のボデーとしてポーキースーツを着ていたが、本当のナマズオ族の着ぐるみがあれば、より完全なるナマズオになれるっぺ!!
ギョリイはナマズオマスクをぴったりとかぶり、ポーキースーツに身を包みながら、画面を食い入るように見つめる。
そして――
「……次回アップデートでは、新たな装備セットが登場!」
「おぉぉぉぉぉっぺぇぇぇ!!!」
ナマズオ胴、くるっぺか!?!?!?
「今回のテーマは……『レポリット着ぐるみシリーズ』!』」
「うぺ?」
「可愛いレポリットマスクにレポリットボデー!プレイヤーの皆様を念願の完璧なレポリットに♪」
「……」
「その他、新たな戦闘服、カジュアルな普段着装備も実装予定! 詳細は続報をお待ちください!」
「……」
「では、次のコーナーへ――」
「ちょぉぉぉぉぉぉぉぉっと待つっぺぇぇぇぇ!!!」
ギョリイ、大激怒。
「今回もまたナマズオ胴の実装なしっぺか!!!!!」
ナマズオマスクがガタガタと揺れ、ポーキースーツのむちむちぼでーが怒りに震える。
「うぺぇぇぇぇぇぇ!! なんで、なんでっぺか!? どうしてナマズオ胴だけ実装されないっぺぇぇぇぇぇ!!?」
「ポーキースーツは仮のボデーっぺよ!? こんな姿のままではナマズオ族として未完成っぺ!!」
「オラは、ちゃんとしたナマズオ族になりたいんだっぺよぉぉぉぉぉ!!!!」
床をゴロゴロ転がりながら、悔しさを爆発させるギョリイ。
この怒号が、本丸中に響き渡った――!!
本丸・大広間
ドンガラガッシャーン!!!
「な、なんだ!? 敵襲か!?」
「いや、違う! これは……主の声か!?」
刀剣男士たちが慌てて審神者の部屋へ駆けつける。山姥切国広、山姥切長義、長谷部、不動行光、清光、安定、薬研、大倶利伽羅、燭台切光忠、三日月宗近の10振りが、大急ぎでナマズオ暴動の鎮圧に向かう。
ズガン!!(←ギョリイが暴れた衝撃音)
「うぺぇぇぇぇぇぇぇ!!! なんでっぺぇぇぇ!!!??」
襖を開けると、そこには暴れ狂うナマズオ審神者の姿が――!!!
「うぺ!!?」(←暴れすぎて自分で転ぶ)
「……はぁ……またか……」
「これは……いったい何があった?」
刀剣男士たちはギョリイの前で足を止める。
そして、床に転がりながらナマズオマスクを抱えるギョリイを見下ろした。
「主、何があったんだ?」(山姥切国広)
「ここまで暴れるとは、よほどのことか?」(山姥切長義)
「まさか敵襲か!? どこにいる!?」(長谷部)
「いや、これは違うな……」(薬研)
すると、ギョリイは勢いよく立ち上がり、力強く叫んだ。
「今回もまたナマズオ胴の実装なしっぺか!!!!!」
「……は?」
「はぁ……またエオルゼアチャンネルの話か?」(長義)
「ナマズオ胴、また来なかったっぺ……」
ギョリイはガックリと肩を落とす。
「ポーキースーツも好きっぺけど、これは仮のボデーっぺ……。オラは……オラは、ちゃんとナマズオ族になりたいのに……!」
ギョリイの悲しげな訴えに、刀剣男士たちは沈黙する。
「……そんなことだろうとは思ってた。」(清光)
「主、まさか毎回これを期待してるのか?」(安定)
「当然っぺよ!!!」
「ナマズオ族として完成するために、ナマズオ胴は絶対に必要っぺ!!」
「オラは、いつになったら本物のナマズオになれるんだっぺぇぇぇ!!!」
そう言って、ギョリイは再び床をゴロゴロ転がる。
「……はぁ。」(長義)
「もう、これは諦めるしかねぇな。」(薬研)
「まぁまぁ、主がここまで熱くなれるのは素晴らしいことだよ。」(燭台切)
「まったく、相変わらず楽しそうだな。」(三日月)
「いや、楽しそうじゃねぇだろ、今回は……。」(不動)
「ったく……とりあえず、暴れるな。」(大倶利伽羅)
そして――
「長谷部、今日は主の機嫌を取るために、さつまおいもを大量に焼いてくれ。」(山姥切国広)
「……っ!! 了解した!!!」(長谷部)
こうして、審神者のナマズオ胴未実装の悲しみを癒すため、本丸中のさつまおいもが大量に焼かれる夜となった。