本丸・医務室
ギョリイ、ついに目を覚ます。
「……うぅ……」
むちむちぼでーをゆっくり動かしながら、ナマズオマスクをかぶったままゴロリと寝返りを打つ。
「主!!!」
長谷部が即座に反応。
その声にギョリイはピクッと反応し、目を開ける。
「……うぺ?」
「『うぺ?』じゃありません!!!」
長谷部の目が、明らかに潤んでいる。
普段は冷静で主命第一の彼が、ここまで取り乱しているのを見ると、なんだか申し訳ない気持ちになってくる。
「主、無事ですか!? どこか痛むところは!? 目眩は!? 頭は!? 体は!??」
「……うぅぅ……」
ギョリイはしばらく考え込む。
そして――
「あたまもみもみ、してほしいっぺ……」
「……は?」
長谷部、思わず聞き返す。
「オラ、頭を打ったっぺ……ナマズオ族の教えによると、こういう時はあたまもみもみが必要っぺ……」
「いや、そんな教えは……」
「ナマズオ族の誇りにかけて、もみもみを要求するっぺ!!!」
長谷部がどう反応していいか迷っていると、横で鶴丸が面白そうに笑う。
「ははっ、そりゃまた大胆な要求だな! まぁ、気絶したんだ、リラックスするのも大事だろう」
「鶴丸、適当に肯定するな!!」
「いやいや、長谷部、お前やってやれよ」
「なっ……!? 俺が!?」
「当然だろ? さっきからその手、ずっと主の手を握ってるしな?」
「っ……!?」
そう、気付けばずっとギョリイの手を握ったままだったのだ。
「そ、それとこれとは別だ!!!」
「別じゃないっぺ! 早くもみもみしてほしいっぺ!」
「っ……くっ……!!」
普段の主なら、何としてでも守ると誓える。しかし、頭皮マッサージという謎の要求にはどう応えればいいのか分からない。
「……誰か、他のヤツを呼んくる……」
「いやぁ、そういう時はやっぱりお前がやるべきだろ?」
「何故だ!?!?」
長谷部の混乱をよそに、ギョリイはふてくされるようにポフッと枕に沈み込んだ。
「長谷部、オラのあたまもみもみ……してくれないっぺか……?」
「っ……!!?!?!?!?」
長谷部、完全にフリーズ。
思考停止、エラー発生。
「こ、これは……どうすれば……!!」
見かねた鶴丸は、ついに動く。
「まぁまぁ、主の頼みだ。ここは俺がやってやろう」
そう言って、鶴丸はギョリイのナマズオマスク越しに、そっと頭をもみもみし始めた。
「……おおおお……!! もみもみ……気持ちいいっぺぇぇぇ!!!」
「ほらほら、気持ちいいだろ?」
「ナマズオの神々が降臨する勢いっぺ……!!!」
「いや、それは言いすぎだろ……」
長谷部は横で見守ることしかできない。
鶴丸がギョリイの頭をマッサージするたびに、ギョリイのむちむちぼでーが満足そうに揺れる。
「ふぅ……これはいいっぺ……」
ギョリイ、完全にリラックスモード。
長谷部は静かに医務室の隅に移動し、壁に頭を打ち付けながら深く反省していた。
「俺がやるべきだった……!!!」
こうして、ギョリイの頭皮マッサージ騒動は、鶴丸国永の手によって解決されたのだった。