本丸・修練場

ギョリイは今日もポーキースーツを揺らしながら、本丸を歩いていた。
目的はただ一つ――修練場で稽古を見学すること だ。

「むむ……! 今日は誰が鍛錬してるっぺかな?」

ナマズオマスクをぴょこぴょこ動かしながら修練場を覗くと、そこでは鶴丸国永と大倶利伽羅が白熱した稽古を繰り広げていた。

バンッ!! バシィィン!!

「おぉぉぉ……!」

ギョリイはその激しい鍛錬の様子に、思わず見惚れる。
二振りとも、普段は気ままな性格なのに、こうして向かい合えば真剣な眼差しと鋭い動き。

「……すごいっぺぇぇ……!!」

そんな二人の動きに惹き込まれ、ついギョリイは前のめりになった。
もっと近くで見たい――そんな気持ちが抑えきれず、一歩、また一歩と足を進める。

――しかし、その瞬間だった。

ブンッ!!

「うぺっ!?!?」

ギョリイの目の前で、大倶利伽羅の木刀が鋭く振り抜かれる。

そして――

ゴッ!!!

「うぺぇぇぇぇぇぇぇ!!??」

直撃。

見事に頭を打たれたギョリイは、そのまま ポフッ と地面に倒れ込んだ。

「……っ!?」

バシンッと木刀を止めた大倶利伽羅が、驚いたように振り返る。
鶴丸も、ギョリイが地面に倒れたのを見て、目を見開いた。

「お、おい、大丈夫か……!?」

鶴丸が駆け寄り、ナマズオマスクをかぶったギョリイの顔を覗き込むが――反応なし。

「……気を失ってるな」

「くそっ……!」

大倶利伽羅が忌々しげに舌打ちする。
自分のせいで主を傷つけてしまった。どれほど手加減していても、今の一撃が直撃してしまったのは事実だ。

すると、鶴丸がすぐに判断を下した。

「加羅坊! 長谷部にこの事態を報告しろ! 俺は医務室に運ぶ!」

「……ああ」

大倶利伽羅はすぐに駆け出し、鶴丸は倒れたギョリイを抱き上げる。

「ったく……なんで近づいたんだ、主……」

落ち着いた様子でそう呟きながらも、その表情はどこか焦りを滲ませていた。

本丸・医務室

鶴丸はギョリイを抱えたまま、急いで医務室へ駆け込んだ。

しかし――誰もいない。

「……くそっ、肝心なときに誰もいないのか」

仕方なく、鶴丸はそっとギョリイを布団の上に横たえた。

「……大丈夫か?」

ナマズオマスク越しにギョリイの様子を窺うが、意識は戻らない。

「……頭を打ったんだ。念のため確認しないとな……」

鶴丸は慎重に手を伸ばす。

そして――

そっとナマズオマスクを外した。

その瞬間。

鶴丸の目が、大きく見開かれた。

「……っ!!?」

白い髪に毛先が桜色のふわりと揺れる方までの髪…眠るように目を閉じた顔は、、、人間だった。

そして何より――

「……なんだ、これは……?」

鶴丸国永は、言葉を失った。

ナマズオマスクの下には、鶴丸が想像もしていなかった姿があった。

「……主…………」

驚きのあまり、鶴丸はしばらく動けずにいた。