穏やかな昼下がり、薩摩の本丸に客人が訪れた。

「ギョリイ殿はおられるか?」

玄関先に立っていたのは、見知らぬ審神者だった。年の頃は二十代後半、端整な顔立ちに堂々とした佇まい。背後には、彼の護衛らしき刀剣男士たちが控えている。

「……あんた、誰?」

対応に出た加州清光が、少し不機嫌そうに問いかける。

「私はレポリット本丸の審神者、宇佐美と申す。この度は重大な用件があって参上した」

「はあ?」

清光が訝しげに眉をひそめた瞬間、その審神者は堂々と宣言した。

「ギョリイ殿を、私の嫁に迎えたい!」

……本丸に、衝撃が走った。

「嫁?」

「そうだ。私は長らくギョリイ殿の噂を耳にしていた。未知なるナマズオ族、そして類まれなる手腕の持ち主。そんなお方と人生を共にできれば、これほど幸せなことはないと思ったのだ」

「…………」

清光は絶句した。隣で大和守安定もぽかんとしている。

そこへ、ちょうどギョリイ(=ナマズオマスクをかぶった審神者)が登場。

「オラ呼ばれたっぺか?」

「おお、ギョリイ殿!」

求婚者の審神者は目を輝かせ、一歩前に出た。

「初めまして! 私は宇佐美、この度ぜひ貴方を嫁に――」

「お断りだっぺ」

「即答?!」

ギョリイはナマズオマスクを指でちょんと押さえ、きっぱり言い放った。

「オラは本丸を預かる身だっぺ。よそ様のとこに嫁ぐ気はねえっぺな」

「そ、そんな! まだ話は終わっていない! 私は本気なのだ!」

「本気でも無理なもんは無理だっぺ」

宇佐美の必死な説得にも、ギョリイは首を横に振るばかり。だが、宇佐美は簡単には諦めなかった。

「では、私と一騎打ちで勝負してくれ!」

「……オラが勝ったら諦めるっぺ?」

「無論だ!」

「じゃあ、やるっぺな」

こうして、突如として「審神者 VS 審神者」の一騎打ちが始まることになった――!