本丸の朝は静かに明ける。だが、今日の空気はいつもと違った。
「主、少し顔色が悪いようだが、大丈夫か?」
山姥切国広が心配そうに声をかける。
「だ、大丈夫だっぺ……ちょっと昨夜、夜更かししすぎただけだっぺよ!」
ギョリイはいつもの調子で笑い飛ばすが、内心は穏やかではなかった。最近、どうも怪しい気配を感じる。誰かがオラの正体に気づきかけている……そんな気がしてならないっぺ。
「主、油断は禁物です。最近、政府からの監査も増えている。我々も警戒を強めます」
へし切長谷部の鋭い視線がギョリイを捉える。
「そうだな。もし何かあればすぐに知らせるといい」
山姥切長義も静かに告げた。
ギョリイは3人にだけ正体を知られているが、最近どうにも周囲の視線が気になる。まさか、他にも誰かが——
***
数日後。
本丸の裏庭で、ギョリイは何者かの気配を感じた。影が動く。
「……誰だっぺ?」
静寂。だが、風に乗って微かに聞こえる足音。
「主……」
現れたのは加州清光だった。いつもの軽い雰囲気は消え、鋭い眼差しがギョリイを貫く。
「……隠してること、あるよね?」
ギョリイの心臓が跳ねる。
(バレたっぺか?でもなぜぺ……!?)
この本丸で、ギョリイの正体を知っているのは、山姥切国広、山姥切長義、へし切長谷部だけのはず。だが、清光の様子は明らかに何かを確信している。
「最近、主の動きがおかしい。前から気になってたけど……」
逃げるか?否か?
その瞬間、背後から別の声が響く。
「主、ここにいたか」
山姥切国広が現れた。彼の緑色の瞳がギョリイを見つめ、そして加州清光へと向く。
「——お前は、どこまで知っている?」
本丸の静寂が破られる。
ギョリイの秘密を巡る、本当の戦いが始まる——。