初めて来てくれた時はいつだっただろう。
最後の写真は増田賢一さん。
思い返してみると、確か友人3人くらいで来てくれていた気がする。
星男は1年経ったくらいだったか。
それからは、一人で来てくれるようになっていろいろな話をした。
大抵、日曜日の早い時間でまだお客様がいない時間。
そんな時間を知ってくれてたのだろうか。
お酒は大抵一杯だけで、あとはお茶かジュースを飲んでほとんど二人きりのバーで彼女の日々の悩みや思いを話してくれた。
ちょこんと座って、宗さーん聞いてくだーい！と言ってはいはい、なに～？なんてぶっきぼうに聞きながら、
僕が意見をした時に、
いきなり泣きはじめてしまった事があった。
内心、動揺をしながらも正気でいるように努めていると、
またニコニコ笑いはじめてホッとしたのを憶えている。
タロット占いの結果にも泣いてたな。
その頃、星男では松井優子さんの曲がよく流れていて彼女も松井さんの曲をとても好きだと言った。
星男でも松井さんのライブをすることにもなって、それから続いた松井さんのライブには殆ど来てくれていたと思う。
はじめてのライブの時に、
松井さんがお花を配りながら歌い、
彼女にもそのお花が届いたとき、
頰が真っ赤になっていた。
そして、ライブ中に恥ずかしそうにやっぱり泣いていた。
他の場所で開催していた松井さんのライブでも必ず彼女はいた。
ライブが終わると、
宗さーんほんとうに良かったですね～と感想を話してくれた。
そのうち、星男に来てもお酒を全く飲めないと言った。
体の調子が悪いんです～と言っていたけれど、
まさか本当に病気になっているとは思いもしなかった。
そして、入退院をするようになって1年、星男には来れなくなってしまった。
最後に来てくれた時が今年の7月。
真珠子さんと増田賢一さんの展示オープニングの日でした。
その日、僕は前日に哀しいことがあってすごく酔っ払ってしまっていた。
彼女が来た時、
「ちょっと～あんた 心配してたのよ～」
と僕が言っていたらしいが、
せっかく1年ぶりに星男に来てくれてたのに記憶があまりない。
増田さんが写真を撮っていてくれて、本当に良かった。
それが最後だったのだ。
星男が七夕の時期で彼女も短冊にお願いを書いてくれた写真があった。
9月のはじまりに哀しいお知らせが来た。
誰もが必ずその日が来ることを、知っているはずなのに絶対に慣れないし、本当に哀しい。
慣れない受付をして、久しぶりに会う方達もいて、自分の気持ちの収まり場所が見つからなかった。
会場は、松井さんのアルバムが流れていた。
久しぶりに聴く曲たちが、彼女たちと過ごした日々を思い起こさせた。
目を瞑って寝ているように見える彼女は、生きている時と同じようにかわいかった。
僕は自然と涙が溢れてしまい、
星男に来てくれてありがとうと彼女に伝えた。
本当にありがとう。
どうぞ、安らかに。
櫻田宗久
最後の写真は増田賢一さん。