大統領の「退任安全保障」のために国の枠組みをぶち壊す政権 | ハロー・ベースボール!

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「転職活動のメモと野球観戦記」から始めましたが、
ほとんど野球のことだけになっています。

政権が、こういうことを遣ってると、


日本のメディアでは、

随分前から書いていたが、


韓国のメディアは、

今頃になって、書いている。


それにしても、


「退任安全保障」、


というのは、上手い表現💮



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 正常な組織をぶち壊す方法は簡単だ。能力のある人を冷遇し、各地位にふさわしくない人を重用するような人事をすればよい。秋美愛(チュ・ミエ)法務長官は今年1月に就任するや否や、政権に関する捜査を進めていた検察指揮部を地方に追放した。そして7か月後、権力捜査を停滞させた検事たちを一斉に昇進させた。

 過去の政権も偏った人事を行っていた。TK政権(大邱・慶尚北道出身の大統領による政権)では大邱・慶尚北道出身者が、湖南政権(全羅道出身大統領による政権)では湖南出身者が重用された。そして故郷の出身者の中から一流の人物を登用した。一流はプライドを持って生きている。自分のいる分野のエリートとして名誉を重視する。いくら政権からの注文だったとしても「検察・メディア癒着」のように実体のない事件を捏造(ねつぞう)せよという仕事は拒否する。検事長のスマートフォンを奪おうとソファーを飛び越えて襲い掛かるといった格闘技じみたことをしたり、隠ぺいを図るため病院のベッドで点滴を受けている写真を公開するといった低質なショーもやらない。


 尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長は今や、手足を奪われた植物状態の検事総長になってしまった。秋長官は尹総長の右腕、韓東勲(ハン・ドンフン)検事長を不正と結び付ける政治工作のために、捜査指揮権まで振りかざすという強引な手段を何のためらいもなく使った。来年7月に尹総長の2年任期が終わった後は、李盛潤(イ・ソンユン)ソウル中央地検長が後任になることが有力だ。検察を去った後輩は、李盛潤地検長について「検事として見ていない」と話した。秋美愛ワンマンショーが始まって半年、権力に対して吠え続けていた土佐犬検察は、ペット犬として飼いならされてしまった。蔚山市長選挙工作、チョ・グク前法務長官の不正、尹美香(ユン・ミヒャン)・正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)の会計不正、秋美愛長官の息子の軍隊休暇未復帰疑惑のように権力にダメージを与える捜査は、もはや夢のまた夢だ。


 崩壊したのは検察だけではない。大学のキャンパスに大統領を風刺する壁新聞を貼った若者が、建造物侵入罪で前科者となる一方、テレビの討論でうそをついた与党の次期大統領候補は「積極性はなかった」との理由で免罪符を与えられた。特ダネを狙って政権関連の取材を敢行した6年目の記者には、逮捕状が発付された。信じがたい法院(裁判所)の決定が続いている。法が死に腐っていくという意味で「司法府」が「死法腐」に、法とは距離が遠いという意味で「法院」が「法遠」に置き換えられた「大韓文国法律用語集」まで登場した。大法院(最高裁判所に相当)院長は、大統領が司法の積弊清算を求めると「捜査に積極的に協力する」と述べた。上官の命令を復唱するような姿だった。大法院長を「政権の侍女」と批判する声明を、高校の同窓生たちが発表した。そのような大法院長を含め、5年任期の間に文大統領から任命状を受ける大法官(最高裁判事)は定員14人のうち13人だ。これらの大法官は、大統領を退任後も守ってくれる頼もしい「守護天使」だ。


 憲法機関である検察の上に君臨する高位公職者犯罪捜査処(高捜処)の設立は、違憲の可能性が大いにあるにもかかわらず、与党は多数議席の強みで押し切った。それでも満足できないのか、野党の高捜処長拒否権を剥奪するための高捜処法の改正も行うという。確実な「文在寅(ムン・ジェイン)コード」の高捜処長を任命するためだ。高捜処は判事と検事も捜査する。高捜処長の任期は3年となっているため、次期政権の序盤まで検察と裁判所が「文在寅前大統領」に手を触れないようけん制することができる。


 国会の法制司法委員会(法司委)は、野党が政権をけん制する最後の関門だった。今国会に入って法司委は、与党が権力機関の綱紀を正す場所へと変わった。政権の痛いところを突いていた検察と監視院が、法司委から袋だたきにされる。法司委の委員長ポストは2004年から野党が確保してきたが、与党がこのポストを欲する理由がそこにあった。一党独裁国会は、政権の不正を防御する最前線だ。


 金慶洙(キム・ギョンス)慶尚南道知事が「ドルイドキング世論操作事件」によって一審で懲役2年を宣告されて1年半が過ぎたが、控訴審は遅々として進まない。秋美愛長官が与党代表だったときに、野党側の仕業とにらんで「明らかな犯罪行為だ」と警察に告発した事件だ。金知事を法廷拘束した一審の裁判長は、司法介入勢力として起訴され、金知事に有罪の暫定結論を下した二審の裁判長は別のポストに異動させられた。進歩傾向の判事の集まりである「ウリ法研究会」出身の判事が残る中、新たに着任した裁判長は初めから裁判をやり直すと言っている。


 退任する大統領にとって最も心強い盾は、権力の再創出だ。現在、与党の次期大統領選の2大候補である李洛淵(イ・ナクヨン)前首相、李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事は、文在寅大統領寄りではない。信じていた親文(文大統領の熱烈な支持者)派の大統領候補「チョ・グク」のカードが使えなくなった今、残ったのは金慶洙知事だけだ。金知事の控訴審が長引いている理由は、無罪宣告によって方向転換するための時間稼ぎといううわさが広まっている。


 前職大統領2人を監獄送りにするのが政権序盤の国政課題第1号だった。政権後半の最大の国政課題は、大統領が無事に慶尚南道梁山市の私邸に戻る道をきれいに磨くことだ。韓米合同軍事演習の廃止や南北軍事合意によって国の安全保障を惜しげもなく捨てた政権が、大統領の退任後の安全を保障するために検察、裁判所、国会といった国家機関をぶち壊すという行為を何のためらいもなくやってのけるのだ。