対中包囲網の安倍外交がもたらした経済面での副産物 | ハロー・ベースボール!

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「転職活動のメモと野球観戦記」から始めましたが、
ほとんど野球のことだけになっています。

中国は韓国にお任せ。

大切なお金は、ASEANとアフリカのために遣うのが賢明。


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対中包囲網の安倍外交がもたらした経済面での副産物


安倍外交を俯瞰(ふかん)してみると、「遠交近攻」という中国古来の手法を援用していると以前、書いた。日本が遠い国と手を組んで、近くの敵に二正面作戦を強いる戦いをいう。安倍晋三首相はこれまで、東南アジアを経由した海洋国家群の南回りと、ユーラシアの大陸国家群の北回りの外交をもって、中国に対中包囲網を意識させた。日米同盟を土台として欧州へ筋交いを伸ばし、国家の“耐震性”を強くする考え方である。

7月末のマレーシア、シンガポール、フィリピンの3カ国歴訪もまた南の筋交いへの補強策であろう。中国と南シナ海で対峙(たいじ)するフィリピンには、巡視船10隻を供与して中国の海洋進出を牽制(けんせい)する。

筋交いの補強には安全保障面だけでなく、成長する東南アジア諸国連合(ASEAN)を日本経済に取り込むという経済の「遠交近攻」もある。安倍政権は力で支配しようとする中国に対して、民主主義、法の支配を尊重する国々と連携を図り、かつ地域の市場経済を強化する。

あちら北京は、安倍政権を「右傾化」「アジアで孤立」などと世論操作して、米欧のリベラル紙を誘導した。それが詐術であることを強調するためにも、日本がASEANとの経済連携を打ち出すことの意味は大きい。さらに、中国が南シナ海で覇権主義の動きを見せる中で、日本経済の回復は域内国にも歓迎される。傲慢な中国の巨大市場だけに依存する必要がなくなるからだ。

日本もまた、尖閣諸島で中国の「海監」など公船に脅かされる事態が、経済面では、かえって救いだったとの意外な事実がある。


日本企業の経営者たちは「巨大需要に乗り遅れるな」と対中直接投資のアクセルを吹かしてきた。中国経済は中国版ノンバンクの“影の銀行”を通じて資金がいくらでも流れ込んでいたからだ。ところが、米欧企業は不動産バブルへの危機感から対中投資を絞り始めていた。日本企業がそのまま突っ込めば、バブル崩壊の渦に巻き込まれる可能性もあった。

中国はいま、これを回避するために成長率を10%から6%程度に減速する政策をとっている。ジャンボ機を急減速しているようなものだから、失速すれば墜落しかねない。年率6%では、在庫投資が急減して生産水準を押し下げる。成長のペースが鈍ければ、不良債権の規模は巨大なものになるから、経済構造を変えざるを得なくなるだろう。

そんなさなかの尖閣の衝撃である。日本経営陣はチャイナ・リスクに目覚め、対中投資を抑制する方向にかじを切った。救いは対中輸出の落ち込みを、息を吹き返した対米輸出で埋め合わせができたことだ。尖閣問題という激しい“警告音”で、投資先をASEANに振り替えた。

日米欧が資本を引いているさなかに、韓国が火中にクリだか芋だかを拾うつもりらしい。韓国の対中輸出額は、輸出額全体の30%近くを占めている上に、朴槿恵(パク・クネ)大統領が70人超の経済使節団を率いて訪中した。韓国は中国の「従属変数」だから仕方ないが、共倒れにならないことを祈る。

安倍首相は当面、安全保障と経済の「遠交近攻」にかじを取りつつ、彼らのナショナリズムがさめるのを待つ方が賢明だろう。

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ナショナリズムと言うのだろうか?