昨日、根室で元北方領土島民の皆様に、また、地元記者の方々に現在の日ロ関係について説明したが、読者の皆さんにもお知らせしたい。

 

 北方領土に関する枠組みには、1.北方四島交流(「ビザなし交流」)、2.北方墓参、3.自由訪問の3つがある。日本政府は、1989年(平成元年)より、閣議了解によって、日本国民に対し北方領土への渡航を自粛するよう求めているため、日本国民は、原則として上記枠組み以外の渡航が出来ない。

 

1.北方四島交流(「ビザなし交流」)は、1991年(平成3年)のゴルバチョフ訪日時にソ連側から提案され、翌年から始まった交流事業である。

 

2.北方墓参は、元島民及びその家族による墓参のための訪問で、人道的見地から日本がソ連側と折衝を行った結果、1964年(昭和39年)に実現した。1971年(昭和46年)から1973年(昭和48年)までの間は、ソ連側の同意が得られず中断したが、1974年(昭和49年)に再開され、翌75年(昭和50年)も実施された。しかし1976年(昭和51年)の実施にあたり、ソ連側が従来簡単な身分証明書で渡航して慣行を変更し、旅券の携行とビザの取得を要求してきたため、1985年(昭和60年)まで実施できず、1986年(昭和61年)、8年ぶりの日ソ外相間定期協議において、ソ連側から人道的見地からこの問題をしかるべく注意をもって検討していく旨の発言があり、以降、毎年実施されている。

 

3.自由訪問は、元島民及びその家族によるふるさとへの訪問で、1998年(平成10年)、モスクワにおける日露首脳会談の結果(「モスクワ宣言」)、翌年より開始された枠組みである。

 

 となっている。それがウクライナ戦争が始まり、日本がG7との連携という中で一方的にロシアに対し、経済制裁等を行いこれに対しロシアは2022年3月21日に次のような決定をロシア外務省は行った。

 

 日本政府の決定に対する報復措置に関するロシア外務省声明

 現在の状況下において、ロシア側は、公然と非友好的な立場をとり、わが国の利益を害そうとする国家との二国間関係に関する基本文書の調印を協議することが不可能であることを考慮し、平和条約に関する日本との交渉を継続するつもりはない。

 1991年のロシア連邦南クリル諸島と日本との間のビザなし交流に関する協定、および1999年の南クリル諸島の元日本居住者の旧居住地への訪問を最大限容易にする協定に基づき、日本国民のビザなし渡航を停止する決定が下された。

 ロシア側は、南クリル諸島における共同経済活動の確立に関する日本との対話から脱退した。

 ロシア側は、黒海経済協力機構の分野別対話パートナーとしての日本の地位の延長を阻止している。

 二国間交流と日本自身の利益に対する損害のすべての責任は、互恵的な協力と善隣関係の発展よりも、意図的に反ロシア的な道を選んだ日本政府にある。

 

 更に半年後、ロシア政府は次のような厳しい決定をした。

 

ビザなし交流に関する日露合意の終了について

 9月5日、ロシア連邦は必要な国内手続きを完了し、1991年10月14日に締結されたソビエト連邦外務大臣と日本国外務大臣との間の書簡交換形式による相互渡航手続きに関する協定、および1999年9月2日に締結された日本国民(元島民とその家族)のクナシル(国後)島、イトルップ(択捉)島、小クリル諸島(サハリン州)への訪問の最大限の簡素化に関するロシア連邦政府と日本国政府との協定を停止した。この措置は、2022年3月21日のロシア外務省の声明で発表された。右に関連し、1986年7月2日の墓参の相互ビザ免除に関する日ソ協定の実施に影響はない。

 

 このことにより、北方領土への訪問の手段がなくなってしまった。

 1986年の墓参の枠組みは残っているとロシアは配慮してくれているが、判りやすく言うと、墓参を希望するならどうぞロシアのビザを取って下さい。それならばいつでもお越し下さいということである。

 このことをロシア側は日本外務省にきちんと伝えているが、この事実を国民はご存じだろうか。政治家、メディア関係者、いかほどの人が判っているだろうか。外務省は正直に事の事実を国民に、特に元島民に説明すべきである。

 林官房長官が1日の記者会見で「墓参の枠組みが維持されていることは確認が取れている」と述べているが、枠組みはあっても北方領土にどうやって「行けるのか」「墓参が何故できないのか」。官僚の説明ではなく、林官房長官自身がどこまで判っているのかは(はなは)だ疑問である。

 外交には相手がある。信頼関係が一番である。このことを頭に入れなくてはならない。だから「一にも二にも停戦、和平」に向けて、日本が大きな役割を果たすべきである。

 朝から旭川市内挨拶廻り。旭川は道内でも暑いところだが、32℃の中、歩くと自然に汗が出る。

 北海道の暑さは爽やかで私にとっては気持ちの良い暑さであった。

 

4日のコメント

 慎一さん、道北も縁がありますので協力して参ります。

 dosannkodoramiさん、働かない、行動しないで他人の批判をしている者は相手にしません。

 富士筑波隅田川さん、誘導された雰囲気の中でリモコンボタンで13%も支持があったことは十分な数字です。

 ひでおさん、日本にとってロシアとウクライナ、死活的に重要なのははっきりしているのではないでしょうか。基本の基です。

 wildcat0530299さん、東野教授が話している「バイラクタルtb2」はドローンの一種でドローンの中でも大型で攻撃力のあるものです。それを飛ばしたことをウクライナは認めています。なのにドローンは飛ばしていないとはどんな頭作りなのでしょうか。

 小雪さん、テレビは対立軸を作った方がわかりやすいので、私は極力控えめに対応しました。時が解決いたします。

 takashi-k51さん、「東野さんはウクライナしか見ていない」と多くの人から私のもとにさまざまな連絡がありました。

 sugibenさん、元島民の平均年齢88.5歳です。今一度、先祖の墓をお参りしたい、今一度、生まれ故郷を見たいという声に私は黙っていられません。だから訪ロするのです。

 キョウテラスさん、一にも二にも停戦、和平です。

 tokoton山の男さん、戦後最悪の日ロ関係と言われています。そんな時だからこそ誰かが繋いでいかなくてはなりません。

 tkjさん、私はブレずに信念を持って行動し結果を残して行きます。

 さださん、いつも的確なコメント有難うございます。日本独自の立ち位置、リーダーシップを見たいものです。

 松村訓明さん、1人でも理解してくれる人がいれば十分です。必ず時間が解決します。その時を待ちます。