日本はロシアの非友好国となってしまった。

 ロシアの力による国家主権侵害は認められることではない。あわせてそこに至るまでの経緯を正しく考えることも解決の方法ではないか。

 G7(主要7カ国)との連携で日本は経済制裁を行った。更にプーチン大統領を個人制裁のリストに入れた。

 簡単に言うと「プーチンとは付き合わない」と日本からカードを切った訳だから、相手は「そうか、俺も付き合わない」となるのは当然である。

 日本は、アメリカやイギリス、ヨーロッパと違い、国益としてロシアとの間に解決すべきことがある。北方領土問題の解決であり、平和条約締結、エネルギー供給である。

 国益に関わる問題がないのならG7にすべて同調してもよいが、日本には欧米にない問題を抱えていることを踏まえての判断があって当然と思うのだが。地政学的に見てもそれぞれの国が問題、懸念を抱えている。

 インドはクアッドの加盟国で日本、アメリカ、オーストラリアと同盟関係である。そのインドは国連緊急総会のロシア非難決議に棄権している。隣にパキスタンを抱え、台頭する中国を近くに見るとき、ロシアとの関係は極めて重要であると国益重視での判断である。インドのように日本も幅を持った対応をしてもよかったのではないか。

 非友好国に指定され、松野官房長官は8日の記者会見で「国民や企業に不利益が及ぶ可能性のある措置を公表したのは遺憾だ」と述べているが、すでに日本がさまざまな制裁を課した以上、ブーメランとして返ってくるのは当然である。それを考えないで判断したとするなら論外ではないか。

 今の日露関係を見るとき、北方領土から引き揚げてこられた元島民の皆さんのお顔が目に浮かぶ。平均年齢87歳、北方領土から17,291人引き揚げてきた元島民も現在5700人、3分の2の人が亡くなってしまった。

 先祖の墓をおき、故郷を捨てざるを得なかった元島民の気持ちを察するとき、政治がなかったと申し訳ない限りである。

 しかし、「明けない朝はない」ここは自然の摂理に思いを馳せながら、元島民の思いを受け止め、諦めずに次の展開を考えていきたい。