一部新聞報道で「変わる日本 冷戦外交再び 自律の『安倍型』から陣営重視に転換」という見出し記事がある。

 冷戦時代が来ると本当に思って書いているのだろうか。私が心配するのは国益問題を抱えている以上、安倍総理が築いてきた信頼、信用がなくなれば全て水泡(すいほう)()すということである。

 社説ともいうべき「『主張』欄に『四島侵略』今こそ発信を」の中で「『領土不拡大』を(うた)った大西洋憲章(1941年)とカイロ宣言(43年)を破り、領土を拡大した指導者はスターリンだけだ」とあるが、カイロ宣言に何と書いてあるか、よく判っているのか甚だ疑わしい。

 

カイロ宣言「1943年11月27日 カイロにおいて署名 」

「ルーズヴェルト」大統領、蒋介石大元帥及「チャーチル」総理大臣は各自の軍事顧問及外交顧問と共に北「アフリカ」に於て会議を終了し左の一般的声明を発せられたり

各軍事使節は日本国に対する将来の軍事行動を協定せり三大同盟国は、海路、陸路及空路に依り其の野蛮なる敵国に対し仮借なき弾圧を加ふるの決意を表明せり 右弾圧は既に増大しつつあり 三大同盟国は日本国の侵略を制止し且之を罰する為今次の戦争を為しつつあるものなり 右同盟国は自国の為に何等の利得をも欲求するものに非ず

又領土拡張の何等の念をも有するものに非ず

右同盟国の目的は日本国より1914年の第一次世界戦争の開始以後に 於て日本国が奪取し又は占領したる太平洋に於ける一切の島嶼を剥奪すること並に満洲、台湾及澎湖島の如き日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中華民国に返還することに在り日本国は又暴力及貪欲に依り日本国の略取したる他の一切の地域より駆逐せらるべし

前記三大国は朝鮮の人民の奴隷状態に留意し軈て朝鮮を自由且独立のものたらしむるの決意を有す

右の目的を以て右三同盟国は同盟諸国中日本国と交戦中なる諸国と協調し日本国の無条件降伏を齎すに必要なる重大且長期の行動を続行すべし(外務省発行の「われらの北方領土」より)。

 なんとも見出しとは異なるカイロ宣言ではないか。外交は積み重ねであり、約束を守ることでしか信用、信頼は勝ち得ない。

 政治家もメディアも、歴史の事実に基づいて発信、発表することを心から願うものである。