今日の産経新聞7面「世界の論点」「大坂なおみ選手『会見拒否』」についてフランス、アメリカのメディアの受け止めが出ている。

 フランスは「一方的な発信手法に疑問」という見出しで、フランスのルモンド紙は、4日付社説で「主張は受け入れられる。だが、手法には納得しかねる」として、大坂なおみ選手がツイッターで一方的に記者会見をボイコットしたことを批判した。全仏オープンの運営者は元テニス選手が多数そろっており、大坂選手が「事前に相談していれば、彼女に寄り添う解決策が見つかったはず」だと主張した。
 ルモンドが指摘したのは、現在のテニス界は、選手のメディアへの露出を増やすことで契約料や放映権料を引き上げ、選手の報酬も膨らむシステムになっているということだ。大坂選手の1年間の広告収入が5500万ドル(約61億円)だったことに触れ、「これは主にスポンサー契約のおかげで、メディアへの露出で恩恵を受けた。特権を手放さずに、システムの不都合なところを拒否することはできない」と苦言を呈した。
 そのうえで、巨額のカネが動くテニス界の構造が、今回の問題の根底にあるとの見方を提示。大坂選手の問題提起を受けて、テニス四大大会の主催者が選手のメンタルヘルスに配慮した改善を目指すと声明で公約したものの、こうしたビジネスのあり方に取り組まずに、改善は可能なのかと疑問を呈した。

 一方、アメリカでは「『ノー』と言うことも必要」と言う見出しで、ロサンゼルス・タイムズ紙も1日付電子版で、休養に入る大坂選手に「自身のケアを最優先に考えている」と理解を示し、必要なのは「共感だ」と強調。騒動を「鬱に苦しむ若者への良いメッセージになった」と論じた。
 このほか、ワシントン・ポスト紙(2日電子版)の記者も「選手は観客の楽しみのためにだけ存在するわけではない」と主張。ニューヨーク・タイムズ紙は7日付で「今日の働く女性で自身のケアを第一にしたいと思うのは大坂だけではない。『ノー』と言うことは現代社会を生き抜くために必要だ」とするジャーナリストのケリー・マリア・コーダキ氏の寄稿を紹介した。


 フランス、アメリカの文化、歴史に対する認識が表れていると私は感じた。読者の皆さんはいかがお受け止めになるだろうか。