ロシアのプーチン大統領が10日、ロシアメディア幹部との会合での話をロシア国営テレビが伝え、プーチン大統領は「日本との関係を発展させたいと思っているが、ロシア憲法に矛盾することは何もしない」と述べたことに日本メディアは総じて「領土引き渡し拒否」とか「領土交渉後退」と言った論調になっている。
 昨年の改正憲法は「領土の割譲に向けた行為や、その呼びかけは認められない」と規定されている。
 あわせて「国境が決まっていない。現在交渉継続しているものは例外」との規定もある。
 1993年12月国民投票で新憲法が採択された時も「領土保全義務」が記されており、昨年の憲法改正もその延長線上であり、北方領土交渉に影響を与えるものではない。
 ロシア大統領も日本国総理大臣も憲法を遵守するのは当然の義務である。
 日本とロシアでの平和条約で一番の肝は国境画定である。日露間の国境線が決まれば北方領土問題は解決し平和条約締結となる。
 2000年9月来日されたプーチン大統領は、ソ連、ロシアの最高首脳として初めて「1956年の日ソ共同宣言は日本の国会も批准し、ソ連の最高会議(現在のロシアの国会にあたる)も批准した法的拘束力を持つ国民への約束だ」と記者会見で述べられた。
 翌2001年3月26日のイルクーツクでの首脳会談でそのことは明確にされた。この20年、プーチン大統領の姿勢は一貫しており、揺らいだことはない。
 そして安倍総理は2018年11月14日のシンガポールでの首脳会談で「1956年の日ソ共同宣言を基礎として日露平和条約交渉を加速する」で合意し、菅総理も就任直後の昨年9月29日のプーチン大統領との電話会談で確認された。
 菅総理は1月18日の施政方針演説で「北方領土問題を次世代に先送りせず終止符を打たねばなりません。2018年のシンガポールでの首脳会談のやり取りは引き継いでおり、これまでの両国間の諸合意を踏まえて交渉を進めます。平和条約締結を含む日露関係全体の発展を目指して参ります」と述べられた。
 歯舞群島と色丹島は日本領、国後島と択捉島はロシア領と確認し、国境線を画定すれば日露平和条約は締結されるのである。
 元島民の最大公約数は
1、 自由に島に行きたい
1、 1島でも2島でも還して戴けるものは還してほしい
1、 海を使わせてほしい


である。2島プラスαの現実的解決しかない。
 外交には相手があり、積み重ねである。菅総理に歴史の一ページを作って戴きたい。いや、やってくれると確信してやまない。