今日も朝刊全国紙は、東京オリンピック・パラリンピック森喜朗組織委員会会長に関するニュースである。
 どこも1面トップ扱いだ。改めて辞任されても森会長の大きな存在感を示す象徴ではないか。
 読売新聞は「会長後任に橋本氏浮上 森氏辞任 川淵氏は辞退 候補者選び 検討委設置」
 朝日新聞は「川淵氏 組織委員会長を辞退 橋本五輪相推す声も」
 日本経済新聞は「川淵氏が一転辞退 組織委員会長問われる透明性 森氏辞任表明 選考委設置」
 毎日新聞は「森会長辞任川淵氏辞退 後任に橋本氏浮上」
 産経新聞は「川淵氏 後任要請を辞退 五輪組織委 森会長が辞任表明」
 東京新聞は「森氏辞任 後任は白紙 五輪・パラ組織委員会長 川淵氏一転辞退」
となっている。
 一昨日、夜のテレビニュースに川淵氏が各局のインタビューに答える形で出ていた。あたかも森会長の後任に決まったかのような発言だった。
 組織委員会会長は理事会の決議によって選定されることになっている。それなのになぜ川淵氏が会長に決まったかのような話ぶりをし、違和感を持ったものだ。
 たとえ森会長から打診されても外に言うべきではない。それなのにご本人が高揚感を持ってテレビに答える姿に、首を傾げたものだ。
 民主主義は手続きが大事であり、次に中身である。この点、川淵氏は大きなフライングをおかし、失格となってしまった。これはご本人の責任であるから昨日辞退したのは当然である。
 昨日の森会長の辞任挨拶で「女性蔑視は全く考えていないし、私は女性の皆さんを出来るだけ称えて来ました」旨の話を聞きながら受け止め、認識の違いによってこんなにも大きなことになるのかと改めて思いながら、森会長の真意が正しく伝わらなかったことは残念でならないし、森会長ご自身が忸怩(じくじ)たる思いであろう。
 合わせて意図的(いとてき)、恣意的(しいてき)に煽(あお)った人たちは、いずれブーメランとなって返ってくることだろう。
 誰が何と言おうとこの7年間、森会長がいたからこそ東京オリ・パラ開催に向け、体制が取れたことは紛れもない事実である。この点、声を大にして「ご苦労様でした」と労(ろう)をねぎらってやまない。
 人生経験豊富な森元総理である。これからもその存在感は示されるであろう。