補正予算の参院本会議があり、日本維新の会を代表し私が質問に立った。代表質問の全文を読者の皆さんに紹介したい。

 日本維新の会の鈴木宗男です。
 質問の前に今この時間でもコロナ感染症患者と必死に向き合っている医師、看護師、医療関係者に、さらにお支えされているご家族の皆さんに心からの敬意と感謝を申し上げます。合わせてお亡くなりになった方々のご冥福と、今、感染症と向き合い、頑張って治療されている皆さんの1日も早いご全快を心から祈るものであります。
 私は日本維新の会を代表して安倍総理にお尋ねします。
 補正予算に10万円の一律給付が盛り込まれています。国民生活を守るための現実的対応と評価をいたします。朝令暮改、迷走、遅いと批判している一部政党もありますが、国民の声、最大公約数に応じるための君子豹変と私は理解しております。
 1月20日国会が始まり、新型コロナウイルス問題が起きているにもかかわらず、桜を見る会、 IR の質問に時間が使われたことは残念でなりません。
 そこで野次っている共産党の皆さん、君子豹変とは君主は速やかに過ちを正し善をなす、それが君子豹変ですからしっかり易経を勉強してほしいと思います。
 安倍総理が最終的に国民に寄り添い、国民のためになる君子豹変は適切な現実的正しい判断であると、あえて私は強調させていただきます。
 日本維新の会はこの10万円を国会議員、地方議員、首長も含めて受け取り、全額を寄付することに決めました。安倍内閣は国務大臣、副大臣、大臣政務官は受け取らないと決められました。そこで総理、あわせて国務大臣、副大臣、大臣政務官は今年のボーナスを受け取らないと決めたらいかがでしょうか。
 国会議員は給料が下がりません。国民に我慢や協力をお願いする以上、内閣、立法府が率先して身を切り、範を質すべきであり、内閣がボーナス返上を決めると、立法府である国会議員も同調せざるを得ません。総理の英断を求めます。
 昨年の通常国会で参議院定数6増に伴い、歳費削減法が成立し、月あたり77000円の自主返納を取り決めましたが、実行していない党、会派があります。今野次っている皆さん方の党であります。そういう党、会派は、政府を批判する前に、まず約束を果たすべきではないでしょうか。
 定数増に対する自主返納と新型コロナウイルス感染に対して歳費を削減することは全く別の話であり両方実施すべきであることを重ねて申し上げます。
 日本維新の会所属国会議員は平成29年1月から歳費の2割相当分を被災地に寄付することを続け、さらに文書通信交通費使途公開法案、企業団体献金禁止法案など、身を切る改革法案を提出しました。
 今回、国会議員の歳費削減法案を委員会でご審議いただき、歳費が1年間2割カットすることになりましたが、私の処にはなぜ2分の1にしないのか、少なくとも3割カットすべきだとの声がたくさん届いています。
 閣僚等の給与については2012年4月から総理大臣は3割、国務大臣、副大臣は2割、大臣政務官は1割、返納されており、歳費2割削減は内閣にとって今までと変わりありません。
 内閣、国会議員は特権的待遇と国民は見ています。改めて総理、ボーナスの返上を強く求めるものであります。
 国権の最高機関におられる議場の皆さん、歳費カットは2割だけでなく、しかも1年に限ることなく、国民目線で、率先して身を削り、国民の負託に応えていくのが責任ある政治ではないでしょうか。
 総理、 マスク、防護服、消毒剤等は十分あるのでしょうか。補正予算では117億円の計上ですが、これで間に合うのか。国民が安心できる説明をお願いします。
 今回の補正で観光分野に1兆3000億円の枠が設けられていますが、具体的な使い方、制度設計が明らかになっていません。一昨年の北海道胆振東部地震では、復興割という地域で何にでも使える、これは熊本地震、西日本豪雨、昨年の台風15、19号でも活かされ、これを活用することが、地域振興に繋がると思いますが安倍総理の見解を尋ねます。
 刑事施設においてもコロナ感染者が出ています。狭い空間に大勢の人が収容されており、感染の危険度は高く、医療体制は脆弱です。受刑者にも人権はあると考えますが総理はいかがお考えですか。
 私自身、国策捜査の結果、1年間の収監経験で感じたのは、凶悪犯を除く経済事犯での高齢受刑者は、長く懲役にさせるのではなく、社会奉仕活動とか、慈善活動をさせることが更生への道ではないかと思いました。
 刑事訴訟法482条1号には、「いちじるしく健康を害する時」、同条2号には年齢70歳以上である時と規定し、刑の執行を停止することができるとなっています。
 例えば、受刑成績が特に良好。財産犯で被害弁償がなされ被害者が許している。刑期の2分の1を経過している。確実な身元の引受人がいる。特に満80歳を超える人については、優先的に考慮する、などの一定の基準を設け、仮釈放をさせることがコロナ感染症対策、人道的見地からも有効と考えますが、総理のお考えを伺います。
 緊急事態宣言により休業要請していますが、お願いする以上、最低限の補償があって当然だと考えます。
 今回、休業要請に応じた方々のみならず、売り上げが減少し、休業を余儀なくされたお店のテナント料、家賃に対しても補償すべきと考えますが、総理のご見解を伺います。
 新型コロナウイルスにより若者は、進学・就職・将来に不安を持っています。若い人、やる気のある人に夢を与えることが必要です。
 その為には学生の奨学金返済の減免、給付型奨学金の拡充を大胆に行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
 議場の皆さん、すべての産業、業種が大変ですが、自然と向き合っている第一次産業、中でも酪農家は学校が休みになり、牛乳が余っており、もう一杯飲んで戴くと救いになります。
 同じく牛肉・水産物も滞っております。消費拡大の運動を政府と一緒になって我々もおこない、一人一人が出来ることを実行するのが、今、求められているのではないでしょうか。
 安倍総理、5月9日ロシアでの戦後75周年対ファシズム戦勝式典が延期となりました。
 私は1月30日の予算委員会でも、この式典に安倍総理が出席し、首脳会談を行い、北方領土問題解決、日露平和条約締結、それが出来るのは安倍総理しかいないと申し上げました。
 新型コロナウイルス終息後の日露関係に対する安倍総理の決意と覚悟をお聞かせ下さい。
 安倍総理、今年は戦後75年、節目の年です。戦後、廃墟と化した日本が、国民の英知と努力で雄々しく立ち上がり、世界に冠たる地位を築きました。
 先人の労苦を振り返れば、この国難にも我々は立ち向かっていけると確信しています。
 今、我々が直面しているのは、見えざる敵、新型コロナウイルスとの闘いであり、それは世界の国々との協力、連携が不可欠で、強いリーダーシップが必要です。それが出来るのは安倍総理、あなたであります。
 議員の皆さん、今闘うべき相手は大災害とも言うべき新型コロナウイルスであり、政府ではありません。反対のための反対の政党では立ち行かないのであります。
 危機的状況化の今、全会派、全国会議員ワンチームとなって知恵を出し合い、政府と協力し、見えない敵との闘いに勝利することではないでしょうか。
 日本維新の会は、これからも提案型政党として活動して行くことをお約束し、私の質問と致します。ありがとうございました。


 長い政治生活の中で、大臣としての答弁、委員長報告等で本会議の壇上に立ったことはあるが、代表質問は初めての経験だった。
 本会議で壇上に立つのは平成22年8月4日、衆院本会議で25年の永年在職議員表彰でお礼の挨拶を申し上げた以来である。
 あれから10年、月日の流れを感じるものである。

※参議院本会議、会派を代表して質問