トランプ米国大統領は、WHO(世界保健機構)へのアメリカの分拠出を停止すると記者会見したことが大きくニュースになっている。
 WHO予算は2年単位で編成されており、2018~2019年は約56億ドルで、米国は8億9千万ドル(約900億円)、米国だけで予算の15%を拠出している。
 報道によるとトランプ大統領は新型コロナに関し、1月末に中国からの渡航を制限したことに対し、WHOは「人の移動や貿易を制限するよう勧めない」と表明し、これに対しトランプ大統領は「危険で破壊的な判断だった」と批判し、更に「WHOは、ウイルスは人から人へと伝染しないという中国の主張を額面通りに受け取った」と両者の発言はエスカレートしていった。
 ムネオ日記でも何回かWHOの一方的な発言、特に日本に対し正確でない話をしていることを読者の皆さんに伝えたことを想い出して戴きたい。
 例えばWHOのテドロス事務局長は、3月2日中国が一番感染者が多いのにもかかわらず、日本・韓国・イタリア・イランの4カ国が最大の懸念と言ったり、WHOのマイク・ライアン氏は日本が感染阻止のため、韓国に対し人口制限をしたら「政治的な争い」をするなと言ったり、WHOの判断は公平・公正でないと指摘してきた。
 今回のトランプ大統領の発言もWHOの検証を終えるまで間、拠出金の支払いを停止するとのことで未来永劫やめるという話ではない。
 2015年日本も、南京大虐殺を世界記憶遺産に登録したユネスコに対し拠出金を保留したことがあった。
 今回のトランプ大統領の発言はWHOにより公正・公平な発言を求めたものと私は受け止める。
 言うべきことは言う、これも民主主義の大事な手続きである。今後の推移を見守りたい。
 WHOのテドロス事務局長は「トランプ大統領の決断を遺憾に思う。財政的欠落ができればそれを埋めるために加盟国と協力する」と述べている。
 テドロス氏が理解する中国の拠出金は4000万ドル(約44億円)でアメリカ20分の1の中国に期待しているのだろうか。
 テドロス事務局長はWHOの初動について反省していない。中国では昨年の12月に新型コロナウイルスに感染した人が出ていたにもかかわらず、WHOは手を打っただろうか。この点、WHOは組織としての体を成していたかどうかも考えるべきではないか。