昨日、大津地方裁判所で17年前、滋賀県で入院中の患者の人工呼吸器を外し殺害したとして殺人罪で懲役12年が確定し、服役していた元看護助手西山美香さんの再審で無罪判決が出た。
 大西裁判長は「警察、検察、弁護士、裁判官を含めて全ての関係者が自分のこととして西山さんの15年を無駄にしてはならない」と言っているが、西山さんの尊く、重い15年は戻ってこない。
 誘導(ゆうどう)・誤導(ごどう)した警察、検察、間違った判決を出した裁判官の責任を何故問わないのか。
 西山さんは満期服役させられた。密室での一方的な形での取り調べ、そして起訴、事件は作られてしまう。
 私は経験者としてはっきり言わせて戴きたい。検察イコール正義ではない。検察も官僚であり、官僚は先ずは自分の出世を考える。そこに無理が生じてくる。
 私の場合、担当した検察の谷川副部長は「隣の八木副部長が三井物産の件で鈴木先生をやろうと全国から検事を集めチームまで作っている。今、私が鈴木先生を取り調べているので、三井物産の件で何かあるなら私に言ってほしい」と言われたものである。中で競争しているのだ。
 その話を聞きながら、自分本位で出世しか考えていないと思ったものである。
 大西裁判長が「取り調べや証拠開示などが一つでも適切に行われていれば、逮捕・起訴はなかったかもしれません」と述べているが、それならば警察、検察、裁判官の責任を問うのが当然ではないか。
 何かしら「もたれ合い」の官僚組織だと思いながら、西山さんにはこれからの人生、胸を張って生きて行ってほしい。
 そして西山さんの幸せを願ってやまない。