16日東京新聞20面に【札幌・ヒグマ射殺に賛否 地元「駆除は適切」 道外「山に返せば」】という見出し記事に目が留まった。

 「ヒグマの出没は全国ニュースでも流れた。駆除が報じられると、意見が電話やメール、手紙などで市役所や南区役所に続々と寄せられた。その数は八月二十一日までの八日間で約六百件に上り、関心の高さをうかがわせた。内容を確認できた四百八件のうち、駆除に関して賛否が明らかだったのは三百四十二件に上がった。
 内容をみると、道内から寄せられた七十一件は賛成四十三件(60.56%)、反対二十八件(39.43%)。道外の百三十一件では賛成五十三件(40.45%)、反対七十八件(59.54%)だった。
 どこから寄せられたか分からなかった意見は百四十件あり、賛成三十九件(27.85%)、反対百一件(72.14%)だった。
 なぜ、クマを殺したのか。麻薬銃で眠らせ、山に返したり、動物園やクマ牧場に入れればいいのではないか…。「道外からの反対の意見では、ほとんど皆さんが口をそろえてそのようなことを言った」。市の坂田一人・熊対策調整担当係長は振り返る。
 坂田係長によるとクマは麻薬銃で撃たれると一時、興奮状態になり、住宅地で暴れ回る危険があった。人に慣れ、住宅地の家庭菜園で楽に餌を取れ、食べられることを学習したクマを山に返しても、戻って来るか、別の住宅地に向かうと予想された。動物園やクマ牧場は成獣を引き取らない。どこにも持って行きようがないクマを、人的被害が出る前に「殺処分するのが妥当と判断した」。
 クマの生態に詳しい東京農業大の山崎晃司教授(動物生態学)は「地元で心配しながら暮らす人が駆除に賛成し、都市部に住んで動物のことを考えている人が反対する場合が多い」と指摘。さらに「都市部の人たちは組織的に意見を出すこともあるので、反対意見が多くなる傾向がある」と解説する。」

 ヒグマは習性として気が弱く、大きな音などで逃げるが、同時に驚いて襲い掛かってくることがある。
 住宅地に出て餌を食べることに慣れてしまったクマは、しょっちゅう出ることになる。
 北海道のヒグマの凶暴性を知らない人は「可哀想だとか、殺さなくても」と言いがちだが、人命に関わる事態であったことをどれほど認識しているのかとお尋ねしたい。
 「駆除は適切」という地元の声が一番わかりやすく、それが現実と考える次第だ。