今国会に提出される「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策に関する法律案(アイヌ施策推進法案)」いわゆるアイヌ新法の説明が、「アイヌ政策を推進する議員の会」総会であった。
 アイヌの人々を先住民族と認識して施策を進める様々なアイヌ施策を実施していくのが目的である。
 政府は、アイヌ民族を先住民族として認めてこなかったが、平成17年、私は新党大地を立ち上げ、「アイヌ民族を先住民族として認め、アイヌ民族の権利確立」を訴えた。
 一人会派で国会での質問時間がないため、政府にアイヌ民族を先住民族として認めるよう、質問主意書36本提出した。
 この私の考えに、当時、自由民主党北海道支部連合会会長の今津寛衆議院議員が「鈴木先生の言う通りだ」と賛同され、超党派のアイヌ議連が出来た。
 平成20年5月12日に提出した「先住民族の定義及びアイヌ民族の先住民族としての権利確立に向けた政府の取り組みに関する第3回質問主意書」に対し、平成20年5月20日の政府答弁書で「アイヌの人々は、いわゆる和人との関係において、日本列島北部周辺、取り分け北海道に先住していたことは歴史的事実であり、また、独自の言語及び宗教を有し、文化の独自性を保持していること等から、少数民族であると認識している。」とアイヌ民族を先住民族と認めない答弁書であった。
 その時の官房長官は町村信孝氏であった。
 しかし、平成20年年6月6日に提出した「アイヌ民族を先住民族とすることを政府に求める国会決議を受けての政府の取り組み等に関する質問主意書」に対し、6月17日に閣議決定された政府答弁書では、「アイヌの人々は日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族であるとの認識の下に、これまでのアイヌ施策を更に推進し、総合的な施策の確立に取り組んでまいりたい」と「少数民族」という表現から「先住民族であるとの認識の下に」と、初めて「アイヌ民族は先住民族」と認めたのである。
 一人で何が出来るのかとよく言われたが、経験と知恵があれば歴史をつくれる事を世に示す事が出来た。
 平成17年から20年の流れを振り返りながら、アイヌ新法が出来る事に感慨無量である。