朝日新聞4面「政界ファイル」に前原誠司元外相、河野太郎外相の答弁に『ご飯論法だ』という記事がある。正確を期すため全文引用したい。
 
国民民主党の前原誠司・元外相は3日の衆院沖縄・北方問題特別委員会で、北方領土問題をめぐる河野太郎外相の答弁について、「ご飯論法だ」と批判した。
 ご飯論法は「朝ご飯を食べましたか」という質問に、パンは食べたが、米のご飯は食べていないので「食べていない」と答えるようなやりとりを指す。先の通常国会で働き方改革関連法をめぐる質疑などで指摘されるようになった。
3日の委員会で河野氏は領土問題について再三問われたが、正面から答えず、「政府の姿勢は一貫しており、領土問題を解決して平和条約を締結する」といった答弁に終始。前原氏はこうした姿勢をご飯論法だとし、「国権の最高機関である国会の議論としては極めて不誠実だ」と指摘した。

 私は質疑の議事録を読んだが、河野外相がきちんと答弁されている「ご飯論法だ」と言われるものではない。
 前原氏の質問で1945年2月11日、ヤルタ協定に触れているが、これは大事な指摘である。
日本は1951年、サンフランシスコ講和(平和)条約では、国後・択捉を放棄している。
1955年、森下國雄外務政務次官が放棄はしていないとすり替えの話をした。
1956年、日ソ共同宣言で平和条約締結の後に「日本国の要望にこたえかつ利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡す」と書かれている。
1960年、東西冷戦が激しくなり、日米安保条約が改訂されるとソ連は外国軍が駐留する国とは領土問題は存在しないという姿勢になり日本は四島即時一括返還と強く出たのである。「四島一括返還」という表現は、ソ連時代の領土問題が存在しないという時代の表現である。
ソ連時代は動かなかった平和条約交渉が1991年10月、ソ連が崩壊し、自由と民主のロシア連邦共和国ができ、エリツィン大統領が登場し、北方領土は未解決の地域で、話し合いで法と正義に基づいて解決すると言われ日本は四島即時一括返還から「四島の帰属の問題を解決して平和条約」と大きく政策転換した。このことを一部、政治家も学者もメディアもよく判っていない。今一度、国民に正しく説明すべきである。
当時、外務省は右バネを気にして十分な説明をしなかったことが今も尾を引いている。
そして橋本・小渕・森政権で日露の良好な時代を築いていたが、2001年小泉政権が誕生し、四島一括返還を言い出し、2002年から空白の日露関係10年となった。それを6年前、安倍総理がカムバックし日露新時代が築かれ今日(こんにち)に至っている。
いつも言うことだが、安倍総理とプーチン大統領の時にしか平和条約締結は結べない。国民等しく安倍総理の背中を押してほしいものであり、それが何よりも国益に叶うことである。
 前原氏も外相経験者である。どうしたら一日も早く日露平和条約が締結されるか国益の観点から考えてほしいものだ。
 日露平和条約締結に与党も野党もない。平均年齢83歳の元島民の最大公約数に応えるのが政治家の努め、役割と思うのだが。