国後島は朝、霧が出ていたが、段々と晴れてきて午後からは日差しも出て絶好の視察日和になった。
 9時半、文化会館で行政府表敬。国後島・色丹島・歯舞群島を南クリル地区(日本の支庁にあたる)というが、地区長代行(現在地区長不在)のブタコフさんが駆けつけてくれ、南クリルの現状を数字を挙げて事細かに説明してくれた。挨拶の中でこれまでの私の尽力にも触れて下さった。
ブタコフ地区長代行は、共同経済活動について「ロシア側はロシア国の法律で、日本側は特別な制度で」という主張で、折り合っていないと述べられた。
 その点に関し、来月日本側は専門の調査団を派遣し、その報告を受けて9月のウラジオストックでの日露首脳会談で発表できることが極めて望ましいと話した。
 また、私から22日航空機による墓参の際、国後島で衛星通信電話が没収され、現在外交ルートで話し合っているが、人道的見地からも返して戴きたい。特に民間人のは、優先してほしいとお願いした。
 ブタコフ氏からは「協力致します。ただ権限の外にある税関がロシア法に基づいて保管している。協力はします」とのことだった。
 本来ならば22日、その場で折り合いを付けて解決すべきことだが、お互い原則論に立ってしまうとこじれてしまう。
 過去にもこうした例はあるが、やはり信頼関係の構築が大事だとつくづく思った。
 1年ぶりの国後島ユジノクリリスクだが、街は格段と整備され、舗装も進み、住宅も新しくなっている。
 共同経済活動の実施、なによりも平和条約締結に向けて加速させないと思った次第だ。
 18時過ぎ(日本時間20時)古釜布を出発し、択捉島に向かう。
 9時過ぎ、択捉島に上陸。今日、明日、択捉島内を視察する。