今朝のテレビ報道番組は、米朝会談が中心だった。金正恩朝鮮労働党委員長がトランプ大統領に約束した、「完全な非核化」の具体的な詰めが今後の課題であることでは、各局同じ方向である。
 日本にとって拉致問題の解決が最優先であるが、北朝鮮は「解決ずみ」という。
 2002年(平成14年)9月、小泉純一郎首相と金正日国防委員長との会談で北朝鮮側は、横田めぐみさんら拉致被害者8人について、報告ずみで解決したと主張している。あの時、5人の拉致被害者の帰国だけが大きなニュースになり、8人の話は大きな話題になる事はなかった。
 6月15日産経新聞3面に、「平壌宣言16年前『国交正常化優先』首相も批判」という見出し記事が興味深いので、一部引用したい。

 平成14年9月の日朝首脳会談で、小泉純一郎首相と金正日国防委員長(いずれも当時)が署名した日朝平壌宣言が16年の時を経て大きな価値を持つようになってきた。官房副長官として会談に同席した安倍晋三首相は平壌宣言に批判的だったが、北朝鮮への多額の経済支援をうたったこの「証文」は、安倍首相が金正恩朝鮮労働党委員長に拉致問題の全面解決を迫る上で、最大のツールになりえるからだ。
 「1970~80年代に特殊機関で妄動、英雄主義があった。これからは絶対に起こさない。遺憾なことでおわびする」
 平成14年9月17日の平壌で開かれた日朝首脳会談。小泉氏の抗議を受けた金正日氏は拉致を認め、謝罪した。ところが、平壌宣言には「拉致」も「謝罪」の言葉も明記されず、「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」という表現があっただけだった。
 平壌宣言は、秘密交渉を続けた外務省の田中均アジア大洋州局長(当時)と北朝鮮側の「ミスターX」らにより作成された。国交正常化を最優先させた内容で「過去の清算」を明記し、国交正常化後に日本が北朝鮮に行う経済協力に関する表記は、全体の4分の1以上を占めた。
 その後に拉致問題担当相や内閣官房参与として拉致問題に関わった中山恭子参院議員は「宣言は拉致被害者救出どころか、拉致を認めて謝罪すれば、それ以前の拉致問題は不問にして終局する、拉致問題を収束させ国交正常化を図るという日本政府の方針がはっきり読み取れる」と批判する。
 しかも田中氏は、北朝鮮が横田めぐみさんら拉致被害者8人が「死亡した」と伝えてきたことを、平壌宣言署名直前まで小泉氏にも報告していなかったとの疑惑もある。こうした経緯から、安倍首相はかねて平壌宣言に批判的だった。


 これらを踏まえて日朝関係を考えていくことが必要であり、さらに未来志向でお互いがよかったと言える方向性をもって臨むことではないか。安倍総理の前向きな姿勢を支持したい。
 札幌に行き、14時から、エベレスト登頂中に亡くなった栗城史多さんのお別れ会に出席。私は平成18年8月、栗城さんに初めて会った時、彼の男気、率直さに惹かれ応援した一人である。
 目的を果たせず、夢半ばにしての人生だったが、自分の道を貫いた栗城さんを称えたい。そして心からのご冥福をお祈りする次第だ。