韓国で、また大統領経験者が逮捕された。大統領経験者の逮捕は4人目で、またもやかという思いである。
 産経新聞は「報復と悲劇の連鎖」という見出しで、次のように書かれている。

 李明博容疑者の捜査や逮捕は、昨年5月の文在寅(ムン・ジェイン)政権発足当初から必然視されていた。文在寅大統領が掲げる「積弊清算」よりも、“報復”としてだ。
 背景には、李政権下の2009年の盧氏の自殺がある。文氏は盧氏とは弁護士時代からの仲間で、盧氏の腹心だった。李容疑者は1月に側近2人が逮捕されたとき、「最初から私を標的としていることは明らか。政治報復だ」と文政権を痛烈に批判。文氏は「沸き上がる怒りを禁じ得ない」と露骨な非難でやり返した。
    韓国で公然と語られる前職大統領への報復は今回が初めてではない。軍出身の全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)両元大統領は民主化後、初の文民政権、金泳三(キム・ヨンサム)政権下の1995年に逮捕された。金氏は全、盧政権で民主化運動のリーダー的存在で、逮捕は報復的な色合いがあった。
 また、収賄などの罪を問われ、4月上旬に判決公判を控える朴槿恵(パク・クネ)被告は、大統領在任中に罷免、逮捕された。朴被告と文氏は2012年の大統領選で争い、文氏が敗北。朴被告を政権の座から引きずり下ろした一昨年の大規模集会に文氏は何度も参加した。
 文氏にとり李容疑者は、仲間(盧武鉉氏)を死に追いやった許せない存在なのだろう。ただ、こうした報復の繰り返しは今回が最後とは断言できない。悲劇的な最後を経験していない生存中の大統領経験者は、現職の文氏ただ1人となった。

 日本経済新聞も9面で、「保守・革新対立深く『積弊清算』か『政治報復』か」という見出し記事を書いている。
 政治の世界、権力闘争はいつの時代もある。私も国策捜査にあった者として、時の権力者との関係が、何かあった時、重要である事をしみじみ知らされた。
 韓国で4人の大統領経験者の逮捕がすべて収賄関係であることも、不思議である。
 李明博氏が大統領になり、日本に来た時の言葉が思い出される。
 大阪で生まれ過ごした李大統領は、しみじみと「子供の頃、私を殴った人は、殴った事を忘れている事だろう。しかし私は覚えている」と笑みを浮かべながら話された。含蓄(がんちく)のある話に、私も頷いたものである。
 李元大統領が、どう検察と闘うのか見守りたい。

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