東京新聞27面「本音のコラム」金曜日は佐藤優さんである。「南北首脳会談合意」という見出しで、極めて的を得た判りやすい内容である。
 読者の皆さんに全文紹介したい。

 6日、北朝鮮の朝鮮中央通信は、金(キム)正恩(ジョンウン)朝鮮労働党委員長が5日午後に韓国大統領府の鄭義溶(チョンウィヨン)国家安保室長ら特使団と平壌で行った会談において、南北首脳会談に関して双方が「満足する合意」に至ったと伝えた。
 文在(ムンジェ)寅(イン)韓国大統領と金正恩委員長は、南北軍事境界線上にある板門店の韓国側施設「平和の家」で会談を行うことになる。
 これまでの南北首脳会談は、韓国大統領が北朝鮮を訪れるという形で実現していた。それを今回、軍事境界線上の板門店で、しかも共同警備区域内であるが、韓国側の施設で行うということに合意したのは、金正恩委員長の大幅な譲歩だ。裏返して言うと、それだけ譲歩しても、北朝鮮は見返りを得られると計算しているのであろう。
 北朝鮮が、核兵器と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を完全に放棄することは考えられない。しかし、米国が金正恩体制を転覆させないことを確約するならば、核兵器とICBMの開発を凍結するというカードを切ってくる可能性は十分あると思う。
 焦眉の課題は、通常兵器が使用されただけでも数百万人の死者が生じると想定される朝鮮半島での戦争を阻止することだ。日米両国は、今度の南北首脳会談が朝鮮半島の安定に寄与するように最大限の協力をすべきだ。現在必要なのは、北朝鮮との対話だ。

 来週に金正恩朝鮮労働党委員長と歓談した鄭義溶韓国大統領府国家安保室長が来日され、会談の中身の説明が予定されている。4月初旬、安倍総理の訪米も決まっていた。
 対話に向けた環境整備が進むことだろう。
 22日16時からの東京大地塾は「南北首脳会談」というテーマで佐藤優さんに分析してもらうことにした。

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