文部科学省が天下りをあっせんしたとして国家公務員法違反の疑いが持たれ、他省庁にも及ぶ大きな問題になる気がする。

 官僚の特権的体質の典型が天下りであるが、役所を批判するのは簡単だが、内閣府の「再就職等監視委員会」という国の第三者機関がチェック機能を果たしていたのかどうかも国会でしっかり議論してほしいものだ。

 そもそもこの監視委員会も天下りの組織という声もある。

 文部科学次官は辞任する前に説明責任を国民にしっかりすべきでなかったか。何かウヤムヤに、臭いものに蓋式の手続きに違和感を覚える。

 官房長官が全省庁を調査する意向を示していることが救いである。国民の前に明らかになることを待ちたい。

 なんでも駄目という発想ではなく、有為な人材は登用するという頭作り、考えも合わせ持って国民に理解される仕組みにしてほしいものだ。

 東京新聞金曜日、こちら特報部29面「本音のコラム」は佐藤優さんである。

今日は「空からの訪問」という一文である。全文、読者の皆さんにご紹介したい。

 

政府が空路による北方領土への自由訪問を考えているという情報が、複数の筋から筆者に入ってきた。政府は元島民らが旅券や査証(ビザ)なしで行う北方四島への訪問について、従来の専用船に加え、航空機を活用するための具体的な検討に入ったとのことだ。

 北方領土周辺海域は荒れやすい、それだから、訪問は5月から10月前半に限られている。筆者も外交官時代に、ビザなし訪問団に同行する外務省係官として北方領土を訪れたことがある。

 波が荒れたため、船からはしけに乗り移ることができずに国後島が目の前に見えるところで2日間、船内にとめおかれたことがある。海が荒れていないときでも、船とはしけの幅はしょっちゅう変化し、50センチから3メートルくらいで動く。高低差も50センチから1メートルになる。

 はしけが船に近づいたときに、飛び移らなくてはならない。こういう状態だから、高齢者や乳幼児が北方領土を訪問することは事実上不可能だ。空路が利用できれば、状況が抜本的に変わる。

 鈴木宗男氏が政府中枢に影響力を持っていた2000年、北海道の中標津空港から国後島のメンデレーエフ空港まで、チャーター便でビザなし訪問をしたことがある。この先例に従えば、実現は可能だ。昨年12月の安倍・プーチン会談の目に見える成果が出る。

 佐藤優さんの言う通り日露首脳会談の成果を一日も早く目に見える姿・形にしていくことが北方領土問題解決、平和条約締結に繋がる道だと確信する次第である。