毎日新聞社が5-6日実施した全国世論調査で、北方領土問題について「四島返還にこだわらず柔軟に対応すべきだ」が57%、「四島返還を目指すべきだ」は25%、「関心がない」9%と出ている。国民の皆さんが現実的な判断をしていることがうかがい知る。

 時事通信の10月7-10日の世論調査でも「日ソ共同宣言で明記された二島先行返還を優先すべきだ」が49.8%で、「国後島・択捉島を加えた四島の帰属問題の解決が先だ」は34.1%、「どちらとも言えない・分からない」は16.1%であった。

北海道新聞が9月下旬行った全道と根室管内の世論調査では、「妥協容認派」が全道では81%、北方領土返還運動原点の地根室管内では88%だった。

「一切妥協すべきではない」は全道で17%、根室管内では12%とやはり圧倒的に現実的解決を期待していることが判る。

 同時に行ったロシアでの世論調査では「一島も返還する必要はない」が68%、「一切妥協すべきではない」が58%である。

 ロシア国民はロシアの論理で判断しているのである。

 いつも言うことだが、外交には相手がある。お互いの名誉と尊厳がかかっている。特に領土問題、国境画定となると尚更である。

 戦争をしてその結果取られた領土は、また戦争をして取り返すしかないのが歴史の通例だった。

 一滴の血も流さずに一島でも日本へ引き渡しが実現したとなるなら、それは、それは歴史に残る出来事である。

 安倍総理の決意と覚悟に全幅の信頼を持ってその結果を待つものである。

 イルクーツク声明以来の北方領土問題が話題になることに、歴史の巡り合わせを感じながら、1956年宣言から60年の今年、安倍総理は歴史を塗り替えると確信してやまない。