昨日の日本経済新聞記者手帳に「予習で特需 60年前の難交渉」という見出しの囲み記事がある。正確を期すために一部引用したい。

 

 「皆さんはもう読んだかな」。複数の外務省幹部が周囲に同じ本を薦めている。「日ソ国交回復秘録 北方領土交渉の真実」(松本俊一著)だ。1956年の日ソ共同宣言の交渉で日本が全権だった著書が当時の経緯を鮮明に記したものだ。

 同書によるとソ連との交渉では、米国の圧力、日米安保の適用問題、4島返還の国内世論、漁業権など幾多の困難にぶつかった。「これを読めば交渉の難しさがわかる」と外務省幹部は語る。テーマはいまもロシアとの北方領土交渉で焦点になるものばかり。宣言後60年でも交渉のバイブルになり得るという。

 

 この本は1966年朝日新聞社から出版され、1956年の日ソ共同宣言の交渉で全権代表を務めた松山俊一さんの「モスクワにかける虹」という絶版になっていたのを佐藤優さんの努力によって復刊したものである。まさに日ソ共同宣言の歴史が書かれている。それを佐藤優さんが判りやすく解説されているところがきもである。

 1951年サンフランシスコ講和条約で吉田茂首相は国後・択捉両島を放棄したこと、そのことは国会で西村熊雄条約局長が認めていること。森下国雄外務政務次官がサンフランシスコ講和条約はソ連が署名していないので放棄していないとすり替えの答弁をしている事実、1956年8月アメリカが「ソ連と平和条約を結ぶのなら沖縄は還さない」と重光外相に放ったいわいる「ダレスの恫喝」が書かれている。

 是非ともよく読んで歴史の真実、事実を知ってほしいものだ。あわせてこの本を国会議員がよく読むことである。

 歴史の事実を知らずに原理原則論を唱える者が多い。しっかりと真実を踏まえることが基本である。

 私は安倍総理はすでにこの本を読まれていると理解している。だからこそ決意と覚悟を持ってプーチン大統領と向き合っている。

全幅の信頼を持って安倍首相の決断を支持して参りたい。