今日は60年前にモスクワで「日ソ共同宣言」が署名された日である。日本とソ連において戦争状態でなくなった日である。

 この共同宣言の中に「日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸党は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする」いわゆる、平和条約締結後に歯舞群島及び色丹島を日本に引き渡すとされる文言が入っている。国後島・択捉島は一切触れられていない。

 1960年、日米安保条約が改訂されてからソ連は外国軍の駐留する国には1956年宣言の9項もなしだ、領土問題はないと強く出てきた。そのため日本は「4島一括返還」、その上に「即時」と言ったのである。

 それが1991年秋、ソ連が崩壊し、自由と民主のロシアになり、北方領土問題について話し合って法と正義に基づいて解決しようとなり、日本も「四島の日本への帰属が確認されれば実際の返還の時期、態様及び条件については柔軟に対応する」と「四島即時一括返還」という方針から大きく政策方針転換した。

この事実を外務省は国民によく説明されていない。それゆえに国会議員、メディア関係者の中には今でも四島一括返還が政府の方針と思っている人がいる。

昨今、12月15日の山口県での日露首脳会談に向け、大きな関心が持たれているが、期待感を持つのはよいが、期待値を高くするのは良くない。予見を与えず、静かな環境で見守ることが一番である。

安倍総理が国益の観点から判断するのであるから。