日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」が再稼働なら大幅な巨額の国費負担が必要とのことで廃炉も選択肢、視野に入れて政府は検討していると報道で知る。
 この「もんじゅ」開発研究の予算付けに力を尽くしたのが中川一郎国務大臣科学技術庁長官だった。
 科技庁長官就任打診があった時、中川先生は乗り気でなかったが、私は「科学技術の発展こそ日本の生きる道です。これからエネルギー戦略が大事です」と進言し、中川先生を説得したものである。
 昭和55年から57年まで鈴木善幸内閣で2年間、科技庁長官をし「科学技術立国元年」と大々的に打ち出したものであった。
 その時の目玉が「もんじゅ」で、30年後の実用化をめざしスタートしたものである。
 あれから37年、実用化どころか廃炉の議論になるとは。あの当時の官僚の説明は何だったのか。
 専門的なことは特に技術的な面で政治家はその知識はない。官僚の話を鵜呑みにするしかなかった。泉下の中川先生はこの事態を何と受け止めておられるだろうか。
 小泉元首相が首相の時は原子力発電をセールスしながら今は原子力発電反対、廃止である。180度違う行動も多くの人がどうなっているのだろうかという疑問を持っていることだろう。
 エネルギー政策は国家の相貌に係る課題である。国民から選ばれた国会議員は50年、100年先を踏まえた大所高所の議論をしっかりし、国益の観点から熟慮に熟慮を尽くして戴きたい。