8月15日終戦記念日に取り上げられるのが閣僚の靖国神社参拝である。
 玉串料を公費か私費という稚拙(ちせつ)な話が興味本位で出る。お参りするのに国民の税金を使う閣僚はいないはずである。
 私人か公人かという話も出るが、国務大臣はあくまで国務大臣である。私人でお参りしたという閣僚もいるが、国務大臣は24時間、365日国務大臣なのである。
 戦後70年以上経って今尚このような話が出ることは、お国の為に殉じられた英霊に対し申し訳ないことである。
 靖国神社は戦争で亡くなられた英霊をお参りするお社(やしろ)である。冷静に今一度振り返って見てほしい。
 靖国神社に関してはA級戦犯が合祀されてから問題となってきた。昭和54年4月19日、朝日新聞によって報道され国民が広く知るところとなった。なんと昭和53年10月17日、靖国神社の神司により合祀されたという。
 後に遺族会の会長も務められた古賀誠先生のお話によると遺族会には何の相談もなく全く知らなかったとのことである。
 A級戦犯が合祀されるまでは天皇陛下もお参りされ内閣総理大臣もお参りされた。
 A級戦犯が合祀されてから隣国の反発や国内でもさまざまな声が出てきたのである。
 今日(こんにち)の平和は多くの尊く重い犠牲の上に築き上げられたことは論を待たない。
 昨日の天皇陛下の「ここに過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」というお言葉に私は深く頭を垂れ頷いたものである。
 戦後71年経ち、世界の中の日本から世界に責任を持つ日本となった。この件に関しても、そろそろきちんとした整理をすべきでないかと考えるものである。