安倍首相は昨日の自民党役員会でプーチン大統領との会談について「平和条約についてこれまでの交渉の停滞を打開し、突破口を開く大きな手応えを得ることが出来た。今後も首脳同士の直接のやり取りを重ねることで粘り強く交渉を進めたい」と述べたと報道されている。
 安倍首相が自民党役員会で首脳会談について言及したということは中身のある展望が開けた良い首脳会談であった証だろう。
 1956年の日ソ共同宣言から60年の節目の年、平和条約締結に向けて安倍首相が大きな決断をなされるものと期待したい。
 一方、日露首脳会談に水を差す発言をする学者もいる。
 8日東京新聞6面国際欄で、新潟県立大 袴田茂樹教授は「領土問題棚上げの恐れ」という見出しで次のように語っている。一部紹介したい。

 安倍氏が提案した「新たなアプローチ」は注目される。日本側の説明では、四島の帰属問題を確定させ、平和条約を締結する基本方針は変わらないとのことだが、詳細は不明だ。経済・国際協力を優先させるとのロシア側の主張に引っ張られ、領土問題が事実上棚上げされる懸念もある。

中略
 
プーチン氏は、外務省レベルでの「継続的に絶えることのない対話」を強く主張しているが、既に議論は尽くされ、残るはプーチン氏の決断のみだ。しかし、人ごとのような物言いのプーチン氏に領土問題解決の決意は見られない。
 両首脳は今年九月の極東ウラジオストクでの再会談で合意した。プーチン氏訪日のめどが立たない中、安倍氏が連続四回も訪ロするのは異常。国際社会は日本をロシアと対等な主権国家とは見なさないだろう。
 日本外務省は、見解を明確に理路整然と発信し、国際世論が両国の見解の正否を判断できるようにするべきだ。その上で経済協力と領土交渉を並行して進展させる必要がある。ロシアと対等な外交関係を築いた上で次回会談を考えるべきだ。

 学者に様々な考えがあっても良いが、責任ある外交は国益を第一に考え運動ではなく交渉し結果を出すことにある。
 この点、袴田茂樹氏は旧ソ連時代からの頭作りで北方領土問題が解決しないことによって立場が守られる。いわゆる「北方ビジネス」と呼ばれる所以である。
 外交には相手があり、折り合いを付けながら進めて行かなくてはならない。
 私は安倍・プーチン会談を高く評価しながら両首脳によって必ずや平和条約締結への道筋が作られると確信している。