3月10日発売された週刊新潮で日本相撲協会外部理事の宗像紀夫氏が「八角理事長に告ぐ。相撲協会の私物化を止めよ」「殺害予告電話があった『相撲協会』理事長選挙の大暗闘」という仰々しい見出しに目が留まった。

日本相撲協会の、しかも役員が理事長批判をするとは大変なことである。しかし記事の中でつじつまの合わない点がある。

3月15日の日刊ゲンダイは「コンプライアンスやガバナンスに反してるのは自分たちだろう 貴乃花一派の悪巧み」「バックに裏金顧問」と大見出しで1ページを割いている。

「定款で決まっている」という欄を読者の皆様にお知らせしたい。



そもそも宗像外部理事の週刊誌での主張には複数の疑問がある。 まず月末の理事長選に際して、外部理事に投票権はない。これは相撲協会の定款で決まっていることだ。第6章第31条には「理事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで」と明記されている。

つまり外部だろうと内部だろうと、理事の任期はいったん今月28日午後2時開始の評議員会終了時に切れる。その評議員会で1月28日の理事候補選で選ばれた新たな10人の内部理事を承認。その10人が午後3時半からの理事会で新たな理事長を互選する。留任、新任を問わず新たな外部理事が決まるのが翌日の理事会と評議員会であることは昨年暮れの評議員会で決定した。要するに新理事長が決まる28日の理事会が開かれる時点で、外部理事は存在しないことになる。暮れの12月18日、北の湖理事長の急逝によって八角理事長が誕生した理事会に外部理事が参加したのは任期中だったからなのだ。 実際、2年前、公益財団法人移行後の理事選でも、評議員会で承認された10人の理事による互選で北の湖理事長の再任が決まった。となると、投票権のない外部理事を「八角に投票しないと殺すぞ」と脅すこと自体が意味をなさなくなる。

顧問弁護士がいるにもかかわらず、理事会の承認を得ずに新たな弁護士を雇ったという件は、むしろ当然ではないか。 なにしろ、それまでの協会の顧問弁護士は、パチンコ業者の代理店関係者から裏金をもらった顧問を「(裏金は)返したから問題ない」と結論付けた人たちだ。裏金を渡した代理店関係者に「絶対、これ、バレんように

してくれる?」とクギを刺した揚げ句、「小分けでも構わんですよ」とも言った顧問を訳の分からない理屈で「シロ」にした。代理店関係者は本紙の取材に「(カネは)返してもらっていない」と答えているのに、だ。信用しろという方が無理な話だし、危機感から新たな弁護士を雇うのはむしろ自然ではないか。 「コンプライアンスをないがしろにし、ガバナンスもなっていない」のは現体制ではなく、貴乃花理事を担ぐ宗像外部理事たちの方だ。



とってもわかりやすい内容である。よく「捕えて見れば我が子なり」という言葉があるが、改革派ぶっているが権力を握り私物化を図っているのは実はこの連中なのではないかと胸にストンと落ちる話である。

読者の皆さんはどう受け止めるだろうか。

日本の国技、大相撲を守って行くためにもいかがわしい顧問と称する人が跋扈(ばっこ)する協会にしてはいけないと思うものである。