軽減税率を巡る自民党・公明党の協議がやっと合意した。

13日の読売新聞朝刊3面で「公明重視官邸が説得『選挙どうする』連立優先」という大見出しがある。

記事の中に、「9月下旬菅氏のもとに公明党の漆原良夫・中央幹事会長から手紙が届いた。当時は、軽減税率とは異なる給付型の財務省案が浮上し、公明党や支持母体の創価学会が猛反発していた。漆原氏は『軽減税率が実現できなければ自民党との連立も持ちません』としたためていた。菅氏は慌てて漆原氏に電話し、『よく分かりました』ととりなした。首相は10月、財務省案を撤回し、消費税率10%への引き上げと同時に軽減税率を導入するよう指示した」なるほどである。

13日の朝日新聞2面、時時刻刻では、「官邸主導見切り決着 軽減税率 迷走3ヵ月 還付案に創価学会反発・・・菅氏が更迭提案」という大見出しで、記事の中で「9月上旬、公明の山口代表は、財務省の佐藤慎一主税局長から還付案の説明を受けると、謝意を述べたという。財務省側は『これで軽減税率を導入しなくてもいい』と手応えを感じた。田中一穂財務次官と佐藤局長がすでに安倍首相から了承を得ていたからだ。

しかし、この還付案が報じられると、公明党支持母体の創価学会に衝撃が走った。『こんな大事な問題を、党は勝手に決めるのか』との声があがった。

9月10日朝、東京・信濃町の学会本部。山口代表や井上幹事長ら党執行部を前に、選挙を仕切る佐藤浩副会長がまくし立てた。『これでは選挙にならない。参議院選挙区から新たに出す候補者は全部外す。負ける選挙はできない』

還付案を『軽減税率の一形態』と擁護していた公明の斉藤鉄夫税調会長は、25日の与党協議で『わが党は否定的な意見しかない』と述べた。還付案は消え、議論は振り出しに戻った。

公明党の豹変ぶりに、自民の野田毅税調会長(当時)が『2年間かけて軽減税率は無理だと自公で決めたのに元に戻した。公明党は無責任だ』と反論。公明内に『野田氏と一緒にできない』との声が広がる。

この声に敏感に反応したのが、菅氏だった。菅氏は佐藤副会長から『軽減税率の導入なしには選挙で協力できない』との訴えを聞いていた。野田氏はすでに6年余り税調トップとして君臨していた。菅氏は首相に野田氏の更迭を提案する。『野田氏は長すぎる。党内に別の権力者を作るべきではない』

10月9日夕。熊本空港に降り立った野田氏の携帯電話が鳴った。首相からだった。『今後も最高顧問として、税制全般にご指導いただきたい。後任には後輩の宮沢氏を充てます』」


なんとも分かりやすい記事である。

官僚あがりの官僚ぐせの抜けなかった野田氏、同じく上から言いなりの宮沢氏では、たたき上げの党人政治家・菅氏の前では何も抗せなかったのである。

この読売新聞と朝日新聞を読みながら、権力にある側の強さ、圧倒的優位性がよく分かる。

財政規律や財源の裏付けもなく、財政再建はどうなるのか。そもそも社会保障にあてるとした消費増税10%の制度の中身がどうなっていくのか、国民に何の説明もなく選挙優先での決着である。

読者の皆さんは、どうお考えだろうか。