ロシアのプーチン大統領は3日、年次教書演説で「ロシアは対テロで指導力を発揮している。ロシア機がトルコによって撃墜されたことに対してトルコを後悔させる」と述べている。

プーチン大統領はトルコ軍機がロシア機を撃墜した時から「石油をトルコに運ぶ密輸にトルコが関与していることを示す新たな証拠」があるとも発言している。

このプーチン大統領の発言を大きく扱ったのは12月1日朝日新聞夕刊2面で、他紙では目に付かなかった。

トルコのエルドアン大統領の関係者が油の商売をしていることは公の事実である。

今日の東京新聞こちら特報部「本音のコラム」は佐藤優さんである。全文読者の皆さんにお知らせしたい。



国際秩序の構造を変化させかねない深刻な事件が起きた。トルコ政府は11月24日、ロシア軍機が領空を侵犯したため撃墜したと発表した。これに対して、ロシア政府は、ロシア軍機はトルコ領空を侵犯しておらず、シリア領空に越境してきたトルコ空軍機がロシアの戦闘爆撃機SU24を撃墜したと主張している。事実関係で、両国の主張が真っ向から対立しているということは、どちらかがうそをついているということだ。

ロシアは本気で拳を振り上げている。事実関係がどうであろうと、裏で「イスラム国」(IS)とつながるトルコのエルドアン政権がロシアと北大西洋条約機構(NATO)の関係を袋小路に追いやるために、意識的に引き起こした謀略だというストーリーで外交ゲームを行うことを決めた。

今回の撃墜事件が発生するまで、ロシアとトルコの関係は基本的に良好だった。なぜなら、トルコはNATOの一員でありながら、ウクライナ問題に関して対ロシア制裁を科さなかったからだ。欧米の経済制裁による打撃を、ロシアはトルコとの関係拡大によって埋め合わせようとしていた。しかし、その流れが今回のロシア軍機撃墜事件で完全に変わった。今後、ロシアでは19世紀の露土戦争の記憶を喚起する宣伝が展開され、緊張が一層強まると思う。



佐藤さんの分析を読み取るとこの先が見えてくる。プーチン大統領が自信を持って述べた年次教書演説を受け入れるものでる。

講談社から「ムネオの遺言」の本が、書店に出ている。佐藤優さんが「月

並みな人間ならば、人生を半ばで諦めてしまう。しかし鈴木氏は人間に対する愛と信頼とを失わず、闘い続けることができるのである」と解説して下さった。読者の皆さんにも目を通して戴ければ幸いである。