昨日、5年振りに色丹島に上陸した。穴澗で出来たばかりの日本円にして15億円をかけた病院を見たが、レントゲン等、近代医学の機器が入っていた。

住宅が新しくなっており、住民の生活が向上していると一目瞭然、手に取るようにわかる。

 予算は南クリル発展計画で連邦政府サハリン州政府からそれぞれ出ている。

 我々が乗った「えとぴりか」は岸壁に接岸でき、いちいち「はしけ」を使わないで済んだ。これだけでも大変な違いである。

 船でテレビニュースを見ているとロシア政府は23日の閣議でクリール諸島の社会経済発展計画で2016年から2025年までに総額700億ルーブル(日本円にして1500億円)を北方四島を中心に社会基盤を整備することを決定している。

 メドベージェフ首相は閣僚に北方四島を訪問することを強く促している。

 私が第一線にいた時は島の日本化を考え、人道支援等進め、島民の理解も得てきた。

 しかし私が居なくなってから、森元首相を除き、ロシアと真剣に向き合う政治家はいなくなった。

 そして島のロシア化が年々進んでいき、このままでは日本の出番はなくなってしまう。北方四島で一日も早く共同経済活動をしないとならない。新しい社会経済発展計画が実行されるとますます島が離れて行く。

日本のもてる世界一の応用技術を即活かすことが国益に叶うのである。

 日本とロシアの最高首脳が北方領土を係争地域、未解決の問題と位置づけ、話し合いで解決しようと約束している。

ならば、「不法占拠だ」「実効支配されている」と犬の遠吠えよろしく、叫ぶのではなく、現実的解決に向け新しい判断、アクションを起こすのが国益ではないか。頭の切り替えが必要であると色丹島でしみじみ思った。

今日一日、色丹島で行動し、明日昼過ぎ根室に戻る予定である。